支援担当が疲弊して、次々と辞めてしまう——。「支援員を辞めたい」という声は、企業の障害者雇用の現場では、しばしば共有される悩みです。相談を受けるたびに感情が揺さぶられ、解決できないことに無力感を覚えることがあります。相手のつらさを自分事として抱え込み、支援する側が先にダウンしてしまうこともあります。
支援員の仕事は、ときに「感情労働」になりやすい役割です。相手の気持ちを受け止め、場を整え、安心感をつくる。その力は強みですが、強みゆえに疲弊につながることもあります。だからこそ、個人の頑張りだけで支えるのではなく、疲弊しにくい「仕組み」を持つことが大切だと感じます。

「燃え尽き」を根性論にしない。まずは仕事の設計を見直す

支援による疲れが続くと、「燃え尽き」を意識する方もいるかもしれません。ふと「支援員を辞めたい」と感じたことがある方もいるのではないでしょうか。ここで大事なのは、燃え尽きは「本人の弱さ」の話にしないこと。慢性的なストレスが積み重なると、誰にでも起こり得ます。
支援員のメンタルケアは、気合いや自己犠牲のうえに成り立たせるものではありません。むしろ、業務の進め方、連携の仕方、役割の境界線といった「設計」の部分で、負荷を調整できる余地があります。
支援はチームで成り立つ仕事です。「自分が何とかしなければ」と思いすぎないことが、長く支援を続ける土台になります。

早期対応のコツは「その人」より「原因」に目を向けること

疲弊しないために大切なのは、課題を支援員だけで解決しようとしないことです。代わりに、問題の原因を見立てたうえで、解決につながりそうな関係者へ早めに共有します。これが結果的に、支援員のメンタルケアにもなっています。
たとえば、プライベートの要因が強いなら支援機関へ。体調面の問題なら医療機関へ。業務上の課題なら現場リーダーへ。ポイントは「困ってから」ではなく、芽が見えた時点で連携の糸口をつくることです。支援員が一人で抱え込む時間を短くできます。
早期対応を実務に落とすなら、次の3点を「型」として持っておくと迷いにくくなります。

  • いま起きているのは「本人の困りごと」か、「環境(業務・関係・体調)の困りごと」か
  • 自分の役割は「解決」か「橋渡し」か
  • 共有先(現場/人事/産業保健/支援機関)と、共有範囲(守秘)を決めたか

この型があるだけで、「抱える」から「つなぐ」へと動きやすくなります。

感情労働の疲弊は、支援員同士の「ピアサポート」で軽減できる

支援員の仕事は、相手のつらさや不安に向き合い、ときに自分の感情を抑えながら支える場面も多い役割です。そうした感情の負荷が積み重なることで、知らず知らずのうちに疲弊してしまうことがあります。
また、支援員のメンタルケアとして有効なのは、支援担当同士のコミュニケーションです。誤解を恐れずに言えば、「愚痴を言い合う」ことです。
同じ仕事をしているからこそ分かることがあり、「それでいいと思うよ」の一言で肩の荷が下りる場面があります。同じ立場のメンバー同士で悩みを共有し、支え合うこうした関わりは、支援員同士のピアサポートといえるでしょう。こうした場は、感情を吐き出せるだけでなく、経験知が循環し、「次の一手」が見えやすくなるという効果もあります。結果として早期対応にもつながり、支援の質も安定しやすくなります。
ポイントは、ピアサポートを「気合い」ではなく「運用」として持つこと。週1回でも短時間でも、「振り返りの時間」を固定し、感情を置いて帰れる場をつくるだけで、疲弊の質が変わってきます。

支援する側も、等身大で。できる範囲で続けるために

支援の仕事は、「私が何とかしなければ」「(支援員も)正しくあらねばならない」と力が入りがちです。その結果、「支援員を辞めたい」と思い詰めてしまうこともあります。でも、ときには「できないこともある」とつぶやいていい。等身大でいることは手を抜くことではなく、長く隣に居続けるための技術だと思います。
もちろん、支援員が等身大で支援を続けていられるのは、現場のリーダーや人事、支援機関など、周囲の協力があってこそです。だからこそ、密に連携しながら、肩に力を入れすぎずに支援を続けることが大切です。その視点が、支援員自身のメンタルケアにつながります。