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社員の悩みや課題に向き合う「田町のジョブコーチ」が、障害者雇用の日常やちょっと役立つノウハウを紹介する当コラム。今回は、季節とメンタルの関係についてお話します。実は毎年、支援担当が決まって忙しくなる時期があるのです。

心身の調子を崩す社員が増える季節に向けて

「またこの季節がやってきたね」「これから忙しくなるだろうねえ」

先日、ほとんどの社員が帰った夜の田町オフィスで、定着支援担当者とそんな話をしていました。当社では、年度の切り替わり時期や季節の変わり目などなど、節目節目でメンタルダウンを起こすメンバーが少なくありません。

多くの人がワクワクしたり喜んだりする季節イベントでさえ、社員によってはとっても悲しいことに感じられたりするのです。

そして今年もまた、不調者が増える傾向にある春が近づいてきました。出会いと別れの季節とも言いますが、新たな業務・環境・人との出会いによってなんとなく緊張してしまったり、変化で心が落ち着かなくなったり……。

季節の変わり目で寒暖差も大きくなるため、余計に体調管理が難しくなるということもあります。がんばって春を乗り切っても、溜まった心労やストレスがあとからどっと出ることも。いわゆる「五月病」ですね。それもあって、支援担当者は初夏頃まで気の抜けない日々が続きます。

年間の体調のリズムに合わせ、適度な距離感で声をかける

「うつ」などの具体的な症状に対応できるのは病院(医療領域)ですので、会社でできることはなかなかありません。ですから、支援担当としては通院を促し、「支援機関に早めに連絡して、事後の対応を相談するように」と伝えることがほとんどです。ただ、社歴が長い社員に対しては、少しできることがあると思っています。それは「調子が悪くなる時期」が近づいてきたら「声をかけすぎない程度に、声をかける」こと。

1年以上はたらいていると、その社員の「1年の体調のリズム」が何となくですが把握できるようになります。「この社員は4月ごろに花粉症がひどくなって、心身の調子が乱れるな」「台風で気圧が乱れる9月前後は不調になるな」などなど。

そうしたタイミングに合わせ、「昨年のいまごろはどんな対策をしていたっけ」「もうすぐ冬本番だから、体調に気を付けましょう」「1年経って、対応策が見つかって昨年のいまごろよりは調子がいいんじゃない?」などと声をかけ、コミュニケーションを取るようにしています。

あまり言いすぎると本人も意識してしまって、逆効果になる場合もありますから、「この時期ってなんだか憂鬱になりますよね。何かあればいつでも言ってくださいね」とさりげなく、しかししっかりと構えを取ることが大事じゃないかと思います。

(ちなみに余談ですが、体調が悪くなる社員を多く目にするこの季節、会社の外で起きることに支援担当はなかなか関われないのが歯がゆいところだったります。定着支援担当には解決できる問題、介入できない問題がそれぞれあります。大事なのは、解決できない問題に対しては「それは無理」としっかり相手に伝えることだと思っています。)

今年を乗り切れば、きっと来年はもっとラクに

支援担当としては声掛けや相談対応などの忙しさが増す時期ですが、一方でちょっとうれしいこともあります。それは、長く在籍した社員たちの「辛い時期の症状」が、年々軽減していくのが目に見えて分かることです。

毎年同じ時期に、同じような不安・症状で調子を崩すものの、1年の間に経験したこと・掴んだことがプラスにはたらいているのだと思います。仮に体調を崩しても「そうはいっても昨年のいまごろよりはちょっと元気だぞ」と感じられると、じんわり喜びを感じます。

毎年のことではありますが、これからしばらくの間は、気合を入れていこうと思っています。がんばれば来年また、やりがいと喜びを感じることができますから。