ともにはたらく環境づくり
パーソルチャレンジ株式会社
パーソルグループの特例子会社であるパーソルチャレンジでは、グループ各社や外部企業から業務を受託する事務アウトソーシング事業を展開しています。現在この事業には、450名以上(2020年10月時点)もの障害のある社員が従事。障害者採用の高い実績を持つパーソルチャレンジでは、一体どのような体制づくりを行っているのでしょうか。前後半の2回にわたり、人事総務部の佛坂がご紹介します。
佛坂 美菜子
パーソルチャレンジ株式会社
コーポレート本部 人事総務部
ゼネラルマネジャー
私がパーソルチャレンジに入社した当時、障害のある方の離職率は決して低いとは言えない数字でした。どうすれば障害にかかわらず一緒にはたらき続けていくことができるのか。人事担当として原因となる要素を洗い出し、会社全体で一つひとつ解決しながら、これまで障害のある方とともに長くはたらくための体制づくりに取り組んできました。
今回は、私たちが行っている障害者採用の取り組みの中から、仕事づくりや採用方法についてお話します。
目次
パーソルチャレンジが受託している仕事のメインは、グループ各社からの事務作業です。各社が取り交わす契約書の管理やチェック、経理業務、各社が出す広告の原稿制作などが主な仕事になります。まずグループ会社から委託の打診を受け、当社で業務内容や納期などを踏まえて対応の可否を検討し、そのうえで受託するかどうかを決定します。
ルール化すればできるけれど判断を求められると難しいものや、個人個人の向き・不向きなどもあるので、業務が受けられるかどうかを一概に判断することはできません。依頼する側がどういった業務なら委託できるかイメージできていない場合もあるので、相手にヒアリングしながら業務の切り出し方をこちらから提示します。抜本的な業務改革やオペレーション方法の変更にまで踏み込んで提案することも多々あります。
ほとんどの場合、採用時は有期社員として雇用し、3ヶ月の試用期間を設けています。入社してからの半年間で、障害のある方がはたらき続けられる体制を作れるかどうかが定着の鍵。安定的にはたらける体制が整うには、だいたい半年から10ヶ月ほどかかります。採用を行う際には、「その間に利用者自身がはたらく準備を整えられるか」と同じくらい、「受け入れる拠点に体制づくりを行うキャパシティがあるか」も重要な判断基準になります。
時短勤務や残業なしなど、障害の特性にあわせてはたらき方を選べるようにワークスタイルの選択肢を広げています。定着には「通勤のしやすさ」が重要になりますが、コロナなど最近の社会状況も鑑みて、フル在宅勤務のようなスタイルも検討していきたいですね。ワークスタイルの多様化は、今後もさまざまな方向性を探っていきたいと思っています。
事務アウトソーシング事業で採用する方の7~8割はハローワーク経由で、就労移行支援事業所に通ってからハローワークで仕事を探すパターンが大多数です。そう考えると、こちらが必要とする人材を確保するには、就労移行支援事業所との連携がとても重要。普段からコネクションができていれば、当社で活躍する人材をスムーズに理解してもらえ、紹介につながるからです。また、同じ就労移行支援事業所出身の先輩がいると、利用者も安心して会社を選ぶことができます。
連携を強化していくのはすぐにできることではありませんが、1~2年後を見据えた関係づくりを地道に行うことが、定着率や信頼につながっていくのだと実感しています。
障害区分や診断名によって採用側が慎重になるケースがあると聞きますが、会社としてスキルや特性に合った環境を準備できれば、はたらく力を十分に活かしていただけると私たちは考えています。固定概念にとらわれず、パーソルチャレンジならではの視点を持つことで、活躍する人材を採用できるよう工夫しています。
仕事づくりや採用においては、当社ならではの取り組みができていると自負しています。でも今、障害者採用をめぐる状況は急速に変化しています。今後もさまざまな工夫をしながら、受け入れ体制をさらに充実させていきたいと思っています。