「車椅子でも仕事はできる?」在宅勤務という新しい選択肢

「車椅子だと仕事は難しいのでは」——そう感じている方は少なくありません。車椅子ユーザーが特に不安に感じるのが「通勤」ですが、その壁を取り払うのがフル在宅勤務です。実際にパーソルダイバースでは、3年間で120名の採用を目標に「フル在宅・時短勤務」の募集を行い、多くの障害者のリモートワークを支えています。通院が必要で8時間勤務が難しい方、住んでいるエリアで希望する仕事が見つからない方にとって、障害者のリモートワークは理想論ではなく現実的なはたらき方です。「はたらきたい気持ちはあるのに、環境が合わない」——その悩みを解決する手段が、少しずつ広がっています。
ここでは身体障害者の就職や障害者のキャリアを支援するジョブコーチの視点から、車椅子でもできる仕事の実例を紹介します。

車椅子でもできる在宅の仕事にはどんなものがある?

「どんな仕事があるの?」という疑問に答えると、多くはパソコンを使った事務業務です。データ入力や書類作成、社内報の記事づくり、アンケート集計、Webサイトの更新など、車椅子でも自宅で完結できる仕事は幅広くあります。
こうした環境は身体障害者の就職のハードルを下げ、脊髄損傷などで移動に制約がある方の仕事の選択肢も大きく広げています。 企業の支援担当者にとっても、車椅子ユーザーが力を発揮できる仕事を切り出すことは、身体障害者の就職支援の大切な第一歩です。
「通勤できないから採用が難しい」と考えられていた職種でも、業務を分解して在宅でできる形に組み替えれば、活躍の場は生まれます。本人に合った合理的配慮と、定期的な面談で体調やキャリアを確認する仕組みづくりが、長くはたらける土台になります。

四肢麻痺のある私が在宅勤務で見つけた「自分らしいはたらき方」——上田さん

高知県に住む上田さんは、四肢麻痺がありながら広報部でフル在宅勤務をしています。わずかに動く左手でマウスを操作し、音声入力も使いながら日々の仕事に向き合っています。 先日、初めて上田さんの自宅を訪ねました。四万十川の河口近く、山の緑と空の青が美しい静かな土地です。休日について尋ねると「ほとんど家にいます」とだけ話してくれました。電動車椅子での外出は危険を伴うためです。それでも上田さんは「仕事を通じて自分の世界と人生が広がっています」と笑顔を見せてくれました。
パソコンのセットアップや体調・キャリアの面談を支援担当者が定期的に行うことで、安心して仕事を続けられる体制が整います。上田さんは日常業務に加え、年に数回オンラインや対面で、自身の体験をもとに講演活動も行っています。
体は家の中でも、ネットワークを通じて東京の仲間と仕事をし、多くの人の考えや行動に影響を与えています。車椅子でも仕事を持つことが、その人のキャリアと人生そのものを広げていくのだと、あらためて実感しました。

脊髄損傷から見つけた「はたらくやりがい」——古郡さん

もう一人、関東近郊に住む古郡さんの話も印象的でした。突然の脊髄損傷で下半身不随となった彼女は、フルリモートで仕事のやりがいを見つけた一人です。 「自分が納得できる人生を送るために自分自身を諦めない」。毎日2時間、竹刀の素振りなどで体力を維持し、「家事でも仕事でも、これからできることを増やしたい」と前を向く姿に、こちらが励まされました。脊髄損傷があっても仕事はできる——彼女はそれを体現しています。
中途で障害を負っても、環境が整えばはたらき続けられます。身体障害者の就職において、こうした前向きな一歩が障害者のキャリアの新たな起点になります。

まとめ:車椅子でも、仕事が人生を広げる

車椅子でも仕事はできます。フル在宅勤務や障害者のリモートワークは、脊髄損傷や四肢麻痺があってもはたらける道を開きます。私たちにできることは限られているかもしれません。
それでも仕事を通じて「何か」を届けたい。その「何か」を一緒に見つけてくれる方を、私たちは待っています。