障害者雇用支援月間にあたる9月、Withではパーソルグループの各現場ではたらく障害のあるスタッフにインタビューを実施。当事者としてはたらくうえでの工夫ややりがい、障害者雇用への考えなどをお聞きしました。

昔からちょっとした雑談や “察する” コミュニケーションが苦手で、仕事にも苦労。転職をきっかけに病院を受診し、自分が広汎性発達障害であることが分かります。診断を受けて一度はこれからの将来を悲観したものの、障害者手帳を取得し「はたらくこと・社会に関わること」に再び挑戦。自分の障害を受け入れたことで、新しい環境と可能性に出会いました。

パーソルチャレンジ株式会社 E.Y

エンプロイメント・イノベーション本部
PRO受託事業部 ビジネスサポートグループ
2011年入社/広汎性発達障害

ご自身の障害について、お話しできる範囲で教えてください。

3歳くらいのとき、言葉の遅れから軽度の自閉症と診断されました。得意・不得意の差が大きく、学校では臨機応変な対応や雑談がうまくできず、人間関係や進学に苦労することが多かったです。

新卒でIT系の会社に入社しましたが、暗黙のルールや上司からの曖昧な業務指示を理解するのに苦しみました。それに加えて、食事を取る暇もないほどの激務の毎日。だんだん電車での通勤に息苦しさを感じ、適応障害やうつ、自律神経失調症などを発症して1年で退職しました。

2社目もIT系の会社で事務職をしていましたが、ある日突然「来なくていい」と言われてしまいとてもショックを受けました。その後、金融系企業に転職してからは睡眠障害も出てきて……。こうした経験から、はたらくモチベーションがどんどん低くなっていきました。

どのようにして障害を自覚されましたか?

ある日、アスペルガー症候群に関する番組を見て「これは私のことじゃないか?」と思いました。それで、当時通院していた睡眠外来の先生の紹介で発達障害外来を受診したところ、「広汎性発達障害」との診断を受けたのです。

単語の理解や普段の会話なら問題はないけれど、曖昧な言葉や難しい言葉を理解するのが苦手で、環境変化に対する弱さもある。これがうまくいかない原因だと納得したと同時に、「自分は他の人と同じような人生を歩めないのか……」と一時はひどく落ち込んだことを覚えています。

パーソルチャレンジの入社理由と、主な担当業務は?

診断を受けてから、自分にできることや特性を把握するために支援機関に通いました。そこで私のサポートを熱心にしてくれるスタッフさんと出会い、その期待に応えたいとの思いから、障害者手帳を取得して再度はたらくことを決心。パソコンのスキルを取得するため、また退職後に昼夜逆転してしまった生活を元に戻すため、専門学校にも通い始めました。就職活動に苦戦していたある日、支援機関の方に「ここを受けてみないかと」紹介されたのが、インテリジェンスベネフィクス(現:パーソルチャレンジ)でした。

面接であたたかい雰囲気を感じ、「自分を受け入れてくれる、一緒にはたらいていける」と思い2011年3月に入社。簡単なアンケート入力作業からスタートし、現在の主な業務は派遣登録した方のデータ入力や、グループ内の求人サイトの記事修正です。また、中途入社者の業務指導も担当しています。

普段の仕事で工夫していることがあれば教えてください。

入社当時は周囲の方の行動や環境の変化に驚き、戸惑ってしまうことも多々ありました。でも周りのメンバーとのコミュニケーションや上司のアドバイスをもとに、少しずつ感情のコントロールができるようになりました。今でも慌てて不安な気持ちになることがありますが、環境に影響を受けないよう、自分を落ち着かせ、常に冷静に自分を保つよう心がけています。

コロナ禍でリモートワークが増えてからは、今までと異なるコミュニケーション方法がメインになりました。Skypeやteamsを使うことが多く、最初はその環境に慣れずに、疲れてしまうこともありました。自分で対応しきれず判断に迷ってしまうときは、リーダーやサブリーダーに相談して一緒に課題を解決するようにしています。

はたらく中で、どんなときに喜びを感じますか?

ありのままの自分が受け入れられ、他の人たちと一緒にはたらけること。そして、仕事を通じて自分のできることが増え、はたらき方の可能性が広がったときに喜びを感じます。

できることが増えると、自分に自信が持てるようになり、可能性や選択肢、そして世界が広がります。想像できない自分が見つかることもあり、それがけっこう楽しいです。

最後に、これからの目標を聞かせてください。

今は社会人としての基礎の見直しをしている最中です。具体的には、報・連・相の文章を簡潔にすることや、チーム課題の資料をよりシンプルで分かりやすくまとめるなどです。自分の仕事について、人から感想やフィードバックがもらえるとよりやりがいや自信を実感できるので、今後は社外のお客様からの声をもっと聞いてみたいですね。

最近は社内研修の担当を務めることがあり、定型業務以外の新しい業務にも楽しみを見出しています。「他にもできることがあるかも」と、これからも自分の可能性を模索していきたいです。

※2022年9月時点でのインタビュー記事です。
※パーソルチャレンジ株式会社とパーソルサンクス株式会社は、2023年4月1日をもって統合し、パーソルダイバース株式会社として発足いたしました。