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社員の悩みや課題に向き合う「田町のジョブコーチ」が、障害者雇用の日常やちょっと役立つノウハウを紹介する当コラム。その中には当社ならではの特徴的な業務もあります。今回は、数多くの業務をグループ各社から受託する当社の中でも、他の特例子会社と比較して特に珍しい業務について紹介したいと思います。

特例子会社といえば、定例反復業務が一般的だけど……

各種書類の封入・封函業務や、郵便物の仕分け、オフィスの清掃……。特例子会社の仕事としてよく聞くこれらの業務は、「定例反復業務」と呼ばれています。当社がユニークなのは、そうした定例反復業務に当てはまらない仕事も受託していること。その一つが、グループ個社が運営している求人媒体の「求人原稿制作業務」や「原稿の審査・校閲業務」です。

文章制作業務には正解があるわけではなく、個々の判断を伴います。内容もボリュームも、求人を出すクライアント(グループ外の一般企業です)の採用ニーズに合わせて都度変化します。まったく定例反復とは言えない仕事ですね。

一体どうやって、こうした業務をスムーズに行っているのでしょうか?

業務を細かく切り出し、個々のスキルとマッチング

現場を知ってまず驚いたのは、原稿制作の手順に合わせて、非常に細かく業務を切り出している点です。文章を作る、企業に電話する、企業所在地の地図情報を取得する……と業務を分解し、障害種別を問わず「それが得意な人」が各業務を担当していました。

また、文章制作における工夫にも驚きました。一例をご紹介しますと、企業情報や条件(例えば未経験歓迎等)を入力すると自動でキーワードを表示するツールが用意されています。ツールが自動でキーワードを表示してくれるので、それを参考に文章を作成することができます。

現場を束ねるリーダーに話を聞くと、「個人の物の見方や価値観を否定することはせずに、まずは個人スキルに合わせた仕事をお願いしています。そこからスタートし、徐々に自信をつけてもらうようにしています」と教えてくれました。

マネジメント上の工夫としては、

  • タスク表を作ってリーダーと共有する
  • 一人で仕事を任せるのではなく、慣れたメンバーとペアで仕事を進める
  • 仕事ができたらしっかりほめる
  • 自信がなさそうな顔をしているときは声をかける(特にここは力を入れているそうです)

などを行っているとのことです。

「どうやったらできるか」という姿勢が成長のきっかけに

この原稿制作業務を受託することは、会社としてもチャレンジングな判断だったと聞いています。しかしそのチャレンジをした結果、「シングルタスクしかできないと言っていたメンバーが、1年後に複数の業務をバリバリこなすようになった」「スキルアップなど成長意欲が高まり、他者と積極的にコミュニケーションを取るようになった」(現場リーダー談)など社員の成長につながりました。

もちろん、全員が全員、劇的な成長を遂げたというわけではありません。それでもこのチャレンジによって、当社には「この仕事は無理だと考える前に、どうやったらできるかを考えよう」という姿勢が浸透したような気がます。

そうして他にもいろいろな仕事にチャレンジした結果、今では100を超える業務を受託しています。今後もこうした当社の挑戦を、みなさんに紹介できればと思っています。