発達障害のある社員の割合は年々増加中
改めてのご紹介ではありますが、特例子会社である当社では、障害のある社員が多くはたらいていて、精神障害の社員も多く在籍しています。精神障害者の詳細な内訳は出していませんが、現場の支援者である田町のジョブコーチの実感としては、「うつや統合失調症、双極性障害などの気分障害の社員ばかりでなく、発達障害の社員も増えてきたなあ」という印象です。当社はここ数カ月、毎月3~5名の入社者を迎えていますが、そのうち1人は発達障害だという感覚さえあります。
「発達障害」については、ここ数年、テレビ番組やWEBニュース等で特集されることが多くなりました。「大人の発達障害」という言葉を目や耳にする機会も多いのではないでしょうか。とてもとてもざっくり言いますと、発達障害の特性としては、「円滑なコミュニケーションが苦手」「他者の気持ち・立場になって考えるのが苦手」「独特のこだわりを持っている」「優先順位をつけることが苦手」というものがあると言われています(もちろんそれ以外の特徴もたくさんありますが、あくまでもざっくりです)。
配慮と環境がハマれば大きく活躍できる
では、発達障害のある社員は、当社でどのようにはたらいているのでしょう。
発達障害のある人はコミュニケーションが苦手な場合が多いと書きましたが、会社ではいろんな場面でコミュニケーションが必要です。当社でも、上司からの指示の理解や、質問のタイミング、苦手な雑談などに四苦八苦しているシーンがまあまあ見られます。また「どこから仕事に手を付けていいか分からない」と、作業の優先順位づけに戸惑っている社員がいるのは決して珍しい光景ではありません。
一方、特性と業務がバチッとハマれば、とても高いパフォーマンスを発揮します。ルールに沿って同じ作業を高い集中力で続けることは、発達障害の特性の一つです。定型反復業務であれば、他のメンバーより圧倒的に早く、正確に数倍の成果を出す社員もいます。
また、独特のこだわりを活かし、とても精緻なマニュアルを作るメンバーもいます。「一定の配慮と環境が整えば、発達障害のある社員は高いパフォーマンスを発揮する」――そんな定説を証明するかのように多くの社員が活躍しています。
先端IT領域における発達障害者の活躍支援に挑戦
発達障害の特性と特に相性が良いのは、IT領域の業務だと言われます。システムやアプリ開発において、動作はプログラム通りに動くことが前提で、逆に言うとプログラム以外の動きはしません。つまりやることが理路整然として、発達障害のある人たちにも分かりやすいのです。
そんなITと障害の親和性に注目して誕生したのが、先端IT特化型の就労移行支援事業所「Neuro Dive(ニューロダイブ)」です。
高い知的能力や職務能力を持ちながらも特性に凹凸がある発達障害者に対して、専門的なカリキュラムを提供し、先端IT領域(データサイエンティストやAI・機械学習エンジニアなど)で活躍できる人材を育成するという就労移行支援サービスで、実は弊社が運営しています。秋葉原にあるNeuro Diveの事業所を訪れると、なんだかしっくりくる風景が見られます。
Neuro Diveでは、3000以上の講座から自分の希望や得意に合ったものを選択できます。通信講座がメインなので、ヘッドフォンをして自分のペースで黙々と勉強する姿があちこちに。たまに数学の専門用語と思われる難しい言葉での質問が挙がります。そして講師は利用者たちに、「一般教養や統計学知識を持っていないとデータを活かせない」と高い知識レベルを要求します。
このような緊張感を伴った就労移行支援事業所は、あまり見たことがありません。自分が興味を持っていることなら、難易度が高くても真剣に学べる。当たり前といえば当たり前ですが、なかなか驚きの光景でした。
発達障害のある方々が活躍するための場や環境の整備に、現在いろんな会社がチャレンジしています。当事者、支える支援者、そして企業が一体となって、新しい道を作っていきたいと思っています。