「精神・発達障害×はたらく」をテーマに当事者社員が講演

パーソルグループではDiversity, Equity & Inclusion(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)推進を目的に、全グループを横断して勉強会やイベントを定期的に開催しています。昨年1月、withサイトでも何度か紹介しているユニバーサルワーク研修の講師を務めるNさんと、田町のジョブコーチである私で「精神・発達障害×はたらく」をテーマに講義とワークを行いました。

といっても私の出番はほとんどなく、メインで登壇したのは精神障害の当事者であるNさん。滑らかな語り口で聴衆を魅了していました。参加者はグループ会社約20社から約120名で、精神・発達障害についてあまり知識がない人や、当事者と接したことがない人、いま一緒にはたらいていて対応方法を模索している人、実際の当事者などなど、さまざまな立場の方が集まってくださいました。

遠慮なしの正直な質問で、活発に意見交換!

今回のイベントは、ざっと以下のような内容で行われました。

  • 精神・発達障害に関する概略説明
  • 当社で起きた事例を基にした「こんな相談があったらどう対応する?」ケーススタディ
  • 事前に集められた質問への回答

事前に集まった質問はおよそ80個。最初に「なんでも聞いて大丈夫です」と話していただけに、遠慮なしの質問がガンガン飛んできます。そしてその一つ一つに、Nさんは可能な限り真正面から答えていました。

例えば「手帳を取ってメリットはありましたか?」という質問には「自分にもできないことはあるんだ、障害者雇用でがんばろう、と再認識するきっかけになりました」と笑顔で返答。参加者からの意見が常にチャットで飛び交い、沈黙や意見が出ない間などは一切なく、かなり充実した時間になったように思います。

終了後、個別でメールをくれた方もいて、うれしい限りでした。

精神・発達障害の認知理解を広げる必要性を痛感

こうしたイベントを通じて私たちが何よりもお伝えしたいことは「一緒にはたらくためにどうすればいいか」です。

「当社では障害名や特性、症状はある程度大まかな理解にとどめ、個々人の症状を引き起こす“不安の要因”に着目している」「相手の不安を解消するより、まずは心配している社員に気づいてあげるだけでいい」など、自分たちの実体験や成功事例を紹介しながら、どんな接し方をすれば精神・発達障害者が力を発揮できるのか、心身の安定につながるのかをお話ししています。

でも今回のイベントを通じて感じたのは「まだまだ精神・発達障害についての理解は道半ば」だということ。イベント終了後、参加者からの感想で「初めて聞きました」「知りませんでした」という声が少なからずあったのです。

一方で、参加者の方は知りたいという熱意を持っていることも分かりました。最近はさまざまなメディアで精神・発達障害に関する情報が続々出ています。「理解したい」「少しでも知って一緒にはたらいていきたい」「何となくは知っていたけれど、当事者の声を聞けて本当に良かった」という感想が相次ぎました。

このタイミングを逃すことなく、まずはグループ企業で、次にグループ外の企業で、そして社会で徐々に発言機会を増やしていければと考えています。こうした活動を通じて私たちのミッションを実現し、障害者雇用の成功につなげ、さらには当事者が「はたらいて、笑おう。」を実感できるように、微力ながらNさんと誓い合った次第です。