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社員の悩みや課題に向き合う「田町のジョブコーチ」が、障害者雇用の日常やちょっと役立つノウハウを紹介する当コラム。今回は、当社で行われている社員向け研修について、その一部をご案内します。

持続的な障害者雇用の実現に向けたパーソルダイバースの研修企画チームの取り組み

毎月20名~30名の社員が入社するパーソルダイバースの受託サービス第1本部(全社では約50名の月も)。そのほとんどが障害者手帳を持った当事者です。毎月20名としても、1年間で240名仲間が増えます。

増え続ける社員に対して現在行っているのが「メンバー向け研修」です。当社で活躍するために必要な「体調の管理」「自己認知」「仕事理解」を現在行っていて、「報連相」「コミュニケーション」など、さらに開発を進めています。

これらを開発しているのは「研修企画チーム」の3名。会社の経営方針、社員育成方針、現場の課題感などを調査したうえで、「当社で活躍・成長するために何が必要か」という観点で作成しています。3名で作って、マネジャーや事業部長、執行役員などにレビューを繰り返して精度を高めます。

自社の研修プログラムが他企業でも波及―広がる共感

企画からコンテンツ開発まで3カ月前後はかかっている印象で、毎回、「カンカンガクガク」熱をもって話し合いを重ねています。作成・実施の中で思わぬ副産物もありました。「当社で活躍」という視点を持って作ったものの、実はそれはパーソルダイバースだけではなく、他の会社でも十分通用するということです。


当社のコンサルタント部署が他の企業に紹介したところ、「体調管理」に興味を持った企業が実施、第2弾の「自己認知」の導入も決まりました。この研修に同席したところ、全国から集まった社員の方が、興味深く聞き、真剣に考え、ワークで答えを出していました。それは「この研修は間違っていなかった」と思わせてくれるのに十分な光景でした。

管理者の皆さん、メンバーだけでなく、自分自身の心身の安定を考えることも大事です!

そして現在、新しい切り口の研修もスタート。それは当社受託サービス第1本部の150名近いサブリーダー向けにスタートさせた「基礎勉強会」と呼ばれるものです。当社は実力主義というか、障害を理由に昇格させない、なんてことはありません。実際、精神・発達障害の当事者がサブリーダー、リーダー、マネジャーとして活躍しています。

一方で特にサブリーダーと言われるポジションは、現場でメンバーの業務や勤怠を把握しつつ、リーダーと生産性の向上や業務効率化など、さまざまな施策を実施します。また、心身に不安を抱えるメンバーの相談に乗ることも。つまり、とってもマルチタスク。

マルチタスクが苦手、と一般的に言われる発達障害のサブリーダーも当社には複数人います。そして、当事者管理者に共通して言えることは、みんなすごく真面目。責任を完璧なまでに全うしようと努力します。責任感が強いあまり、自分の体調を後回しにして、ついメンバーのことを優先することも。それで体調を崩すサブリーダーがちらほらいたのでこのたび、「基礎勉強会」が発足しました。内容は基礎的な障害知識、基本的なメンバーとの接し方、またセルフケアの基本、管理者の身を守るための覚えておきたい労務管理知識を90分でインプットします。

「●●をしましょう」「●●を覚えましょう」という研修は当たり前ですが、あえて「みなさんはここまででいいんです」「ここから先は上司に任せましょう」「報告までがみなさん仕事です」と責任の範囲を明確にしました。「ここまででいいんだ」ということが心理的安全性を覚えて、安心して日常業務に取り組んでもらえたら、と思っています。

これ以外にも計画中の研修があります。研修が実際にどんな効果をもたらすのか。アンケートや体調管理などを行うシステムを通してしっかり追っていきますので、結果は随時このコラムで報告しますね。