このコラムで何度か紹介している、精神・発達障害がある社員が数多くはたらくパーソルダイバースの事例をもとに作った、「ユニバーサルワーク研修」。
パーソルダイバースで障害とともにはたらく僕らの日常が、社会に役立つコンテンツになる。【前半】 | with – パーソルグループの障害者雇用サイト (persol-group.co.jp)
精神・発達障害がある社員への接し方や、ともにはたらくためのマナーをお伝えしているコンテンツです。こちらの講師を久々に行いましたので、そのときに多く出てきた質問などを、改めてお伝えしたいと思います(過去のコラムで触れた内容もあるので、気になる方はさかのぼってみてください)。
初めて精神障害の社員を受け入れるために必要な配慮は?
研修を実施したのは都内の一般企業でした。このたび、初めて精神障害の社員を受け入れるということで、人事の方や配属予定の部署の方たちに受講していただきました。
通常は質問を含めて1時間半の内容ですが、この日は「初めの受け入れ」ということもあり、質問が多く出て計2時間に及ぶ濃い内容になりました。
「必要な配慮は何でしょうか」「言ってはいけない言葉などありますか?」「指示の仕方で注意する点はありますか」「どこまで注意していいのでしょうか」「距離感の取り方は」……。と質問が絶えなかったのが印象的でした。
上の質問すべてに通じる答えの一つは、このコラムでも何回かお伝えしている「しっかりとコミュニケーションを取ること」「そして双方合意できる点をつくること」です。
- 「あれ」や「それ」などといった抽象的な言葉ではなく、「●の業務を●時までに●件やってほしい」という具体的な指示
- 業務における指摘をする際は、その意図や目的までを明確に伝える
- メンタルが低調になることばかりを心配して、適切な指示をすることにためらわないこと
- 低調になった際は、どんな言い方が悪かったかを話し合い、今後の注意の仕方を決めること
- 福祉や支援のフェーズではなく、「はたらく」「職場」という認識をしっかり持ってもらうこと
などをお話しました。不調になることを恐れて「先回りしすぎて、気を遣いすぎて」ではなく、一緒にはたらく仲間として必要なことは遠慮せず伝える。伝え方が本人にとって悪いものだったら、話し合いをもとに改善していく、話し合いと改善を続け、適切な言葉と関係を見出していく。そして、長期就労できるための環境を作っていく。このサイクルが必要なのだと感じています。
障害名ではなく、その人の特性や性格を見てください。
質問では、「発達障害の人にはどう接すればいいのでしょうか」「発達障害の人はマルチタスクが苦手だと聞きますが、同じ業務を任せたほうがいいのでしょうか」というように、個別の障害に関する質問も多くいただきました。もちろん、それぞれの障害に共通するような特徴の出方もあります。一方で私たちが伝えていることは、「障害名だけで判断するのではなく、その人の特性(障害の出方や性格など)を見ていきましょう」ということです。
当社では多くの発達障害の社員がはたらいています。中には一つの業務をこなすだけでなく、サブリーダーとしてチームを管理し、また外部研修講師を行うなど、マルチに活躍する社員もいます(過去にその社員にインタビューを行っていますので、気になる方はご覧ください)。
マルチタスクが苦手と言われる発達障害。一つずつ業務を覚えることで、克服できた。 パーソルダイバース | with – パーソルグループの障害者雇用サイト (persol-group.co.jp)
そういった当社の事例をお伝えすると、「いまの社員の中にも不調を訴える人がいる」「心配な社員もいるので、接し方を変えていきたい」という、声もいただきました。当社もそうですが、障害者手帳を持っている社員、手帳はないけれど、メンタルクリニックに通っている社員、かつてうつ病などで苦しんだけれども、いまは回復している社員……。というように何らかの形で「精神・発達障害」に触れた社員も多くいます。そこまで配慮や心配が及んだ今回の研修を通じて、この会社に入る社員はきっと安定するんだろうなあ、と思った次第でした。