
パーソルダイバース株式会社では、手帳の有無を問わず、定年 60 歳を超えてはたらく社員が数多くいます。大阪本町オフィスの高垣弘和さん(70 歳)は定着支援担当として現役で活躍。関西と名古屋の拠点ではたらく、精神・発達障害など、障害がある社員の体調やメンタルを日々フォローしています。豊富なキャリアと年齢を重ねた経験は、若い社員や障害のある仲間に安心感を与えています。多様なはたらき方が進む中、高垣さんの姿から、いくつになっても活き活きとはたらけるヒントを得ようと話を聞きました。
入社後、名前を変えながら同じ会社で積んだキャリアは40年以上

高垣さんは大学卒業後、人材サービスの会社、学生援護会(現在のパーソルキャリア)に入社、求人広告の法人営業がキャリアのスタートでした。毎日飛び込みで営業する中で、「無理に売り込むのは好きではなかったので、相手の社長さんや人事担当者とじっくり向き合うことを大切にしていました」と振り返ります。当時の営業は求人記事も書いたそうで「自分が書いた求人広告が誰かの人生を左右する」と責任感とやりがいを持って仕事に取り組んでいたそうです。
以来、合併や買収などある中、一貫してパーソルグループではたらき続け、求人広告の審査や読者相談対応、営業事務、総務業務、若年者の雇用支援など、様々な部署や仕事を経験。2017年からパーソルダイバースに出向し、関西エリアのオフィス立ち上げメンバーとして、職場見学や入社時研修、定着面談の実施など、障害のある社員を支える仕事に携わることになりました。
「障害のある方の支援は初めて。オフィスの立ち上げも入社時研修や、採用活動などすべてが初めて。最初は戸惑いもありましたが、そういえば、これまでの仕事も初めての繰り返しだったなと思いました。だから、何とかなるだろうなと考えていました」と高垣さん。
特に、精神・発達障害のある社員の心身をフォローする定着支援の仕事は、毎日新しい課題があり、迷いながら進めているそうで、「迷うからこそ答えを一方的に伝えるのではなく、一緒に悩んで、一緒に答えを考えることができます。だからこそ。日々学びがありますね」と笑顔で振り返ります。
自分よりずいぶんと若い上司、社員と一緒にはたらく中で、年齢や経験の違いを超えた協力が生まれているそうです。これまでの長いキャリアが役立つことも多く、逆に新しいやり方に順応する柔軟さも必要だと話してくれました。「学び続けること、新しい環境を受け入れること、決して自分の言うことが正解だけではないこと」こういったことを常に頭の片隅に入れておくことが、結果的に長くはたらけるコツになったのかもしれません」(高垣さん)
仕事を続ける理由と支え合う職場の価値

高垣さんは、2015年に定年再雇用となり、現在は業務委託契約ではたらいています。通勤時間は片道1時間強。定期的に名古屋オフィスを訪れ、社員との面談も行っているそうです。
「体力的には、まだまだ問題ありません。これまで得た自分の経験が少しでも一緒にはたらく社員の安心につながればいいなと感じている日々です」と高垣さん。
「障害を持つ方と関わることで、多様な考え方やとらえ方を学べて、自分自身の価値観も日々変わっていきます。話す相手によって、考えることや選ぶ言葉は様々で、コミュニケーションの大切さを身をもって実感・理解できるのはありがたいことです。振り返ってみると学び続ける姿勢みたいなものが周囲に受け入れられて、雇用の延長を依頼されたのかもしれませんね」と会社から必要な人材と言われる理由を教えてくれました。
「私がいることで、何か役に立つことがあるとするならば、年齢を重ねた社員がいることで、障害のある社員に安心感を与えることができていることではないかと思います。自分より年が若い社員に悩みを相談することってなかなか難しいし、私みたいな年上の社員が、大丈夫だよ。と言うことで、少しはホッとすると思うんです」と高垣さん。実際、若い社員には伝えられない、経験からくる温かさや落ち着きが、職場の雰囲気を支えているのではないでしょうか。
会社から必要とされる限り、はたらき続けたいと思います

「健康でいられる限り、そして、会社から必要とされる限り、はたらき続けたいと思っています」と高垣さんは断言します。「求人広告の作成もいまの定着支援も人の人生に関わる仕事。人とコミュニケーションを取ることが好きなんです。だからこそ、続けられるんだと思います。世の中にはさまざまな仕事があって、私自身も異動するたびに仕事が変わりましたが、人と話す、という根本部分が変わらなかったから長く続けられたんだと思います。まだまだ、仕事をすることが楽しいと感じられるので、しばらくは続けられそうです」と今後についても話してくれました。
実際に上司のマネジャーからは「冗談かもしれませんが、高垣さんがいたいと思う間はずっとうちの会社にいてくださいと言われています」とのこと。
70歳でなお現場で活躍し続ける高垣さんの姿は、多様な世代や個性が支え合う職場の大切さを教えてくれます。これからの社会に求められる、多様性を尊重しながら互いに学び合うはたらき方の一つの理想像と言えるでしょう。