パーソルダイバース株式会社、大阪・難波オフィスに2023年1月に入社した沢田伸之介さんはかつて、転職1日目で退職した経験があります。自分の失敗から「自分は人と話すのが好きだけど、それを仕事にすることは向いていない」「やりたいことよりできることを仕事にするべき」と学び、長期安定就労が実現、そして、2025年1月、サブリーダーに昇格しました。長期就労だけでなく、キャリアップも手に入れました。

パーソルダイバース株式会社

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受託サービス統括本部
受託サービス第1本部
Staffing受託第1事業部 事務サポート第3グループ
営業情報サポートチーム

沢田 伸之介

やりたい仕事」より「できる仕事」を見つけることが安定就労に繋がった

編集部:ご自身の障害について、またパーソルダイバース入社経緯などを教えてください。

沢田さん:私の障害は「混合性不安抑うつ障害」と言います。文字通り、不安とうつ状態が混じりあっている症状です。なかなか同じ障害名の人に会ったことがない、珍しい障害だと思います、この病気は私の場合、心理的な不安や、フィジカルの負担が強くなると、動けなくなるという症状が出ます。

大学卒業後、会社を変えながらも、ずっと介護業界にいました。はたらきだして5、6年経ったときでしょうか。ある日突然でした。何があったとか大きな理由はありません。疲労やストレスの蓄積だったのかもしれません。

いつもの通勤路を歩いていると急に手足の震え、吐き気が出ました。数日休みましたが、それでも会社に行けなくなりました。体が動かなくなりました。近くの病院で診断を受け、消耗しきった自分に気づきました。

その後、就労移行支援事業所に2年間通所。一度就職しましたが、社会復帰はまだ早かったようで、1日で辞めて、またイチから就労移行支援事業所に通いました。そして通所期限である2年ギリギリで転職支援サービスdodaチャレンジをし、パーソルダイバースを勧められて入社することになりました。

編集部:一度目の通所から1日で退職。何か気づきのようなものはありましたか?

沢田さん:そもそも、自分はこれまで介護職をしていたし、人と関わる仕事をしたいと考えていました。それで、1回目の通所の際、一般枠で就労移行支援事業所に就職しました。ところが、得意だと思っていた対人の仕事が、実はとても辛いことに気づきました。人と話すことは好きだけど、それが仕事となると、緊張感を伴うなど、実は向いていなかったんです。

そこで、2回目の通所では「やりたい仕事」より「いまできる仕事」と現実的に考えるようになりました。1日で辞めたときの自分はどのような状態だったかを振り返りました。そもそもは「はたらく準備不足」だと思いましたが、じゃあ準備とは何なのか。いまの自分の状態はどうなのか。気持ちは曇りがちだけど、早くはたらきたい自分がいる。じゃあ、自分はどうすればいいのか。自己自身との対話をするところから始めました。焦らず、ゆっくりと、じっくりと考え、自分を見つめました。そして「できることをやる」。そのことに気づいた気がします。

「人と話すこと」で不安払しょくができ、安心・安定を手に入れることができました

編集部:入社したあとの自分自身に気づきや変化はありましたか?

沢田さん:2023年1月に入社しました。しかし、初めての事務職ということもあり、完全に不安が払しょくされての入社ではありませんでした。入社直後は特に不安が大きかったようで、現在の上司から「当時は、まさに顔面蒼白状態だったよ」と今でも言われます。しかし、自己との会話を経て、「自分はできることを仕事にすることが向いている」と一定の自己認知ができたおかげか、次第に職場に慣れてきました。

一般枠での就職と大きな違いは、上司や周囲と対話があったことだと思っています。上長との定期的な面談や、定着支援担当の方との面談など。人と対することを仕事にするのは向いていませんでしたが、自分にとって、緊張を和らげるためには人と話すことが大事だと分かりました。「自分は誰かと話すたびに緊張が解けていくんだ」と信じることができて、心がくじけることがありませんでした。

今の仕事はパソコンを使った入力業務です。淡々と進める事務作業のように思えますが、質問や相談、ちょっとした雑談などもあり、人との会話が自分を支えてくれると実感できました。

目の前の仕事に集中し続けることで、キャリアアップが自然に見えてきた

編集部:現在はすっかりなじんで、いまやサブリーダーですね。キャリアアップは最初から考えていました?

沢田さん:正直、最初はキャリアアップなど、考える余裕はありませんでした。2~3カ月は仕事を覚えるだけで精一杯。なんとなく、うちの会社にはサブリーダーとかリーダーとかマネジャーって人がいるんだなと思うくらいでした。意識したのは入社半年後くらいです。上司に「マネジメント向いていると思う、いずれ、やってみては?」と言われたことがきっかけです。それから1カ月くらい考えて、やりたいと伝えました。そこからどのような意識を持つべきか、業務への向き合い方は?メンバーとどう接していくのか、など学ぶべきことを1年間くらいかけて学び、2025年1月にサブリーダー着任しました。

編集部:着任後、工夫されていることなどあれば、教えてください。

沢田さん:大事にしていることは、目の前の出来事が、自分でコントロールできることか、そうでないかを客観的に考えることです。自分の強みとして感じるのは、人とのコミュニケーションをしっかりとれること。だからといって、メンバーの悩みすべてをコミュニケーションで解決できるとは限りません。

この人のこの悩みはコントロールできるのか、自分がハンドルを握れるのか。業務のやり方はコントロールできる。でも、メンバーの身体やメンタルのコントロールは、自分でできるものではありません。自分にできないことに対しては、勇気をもって思考を放棄する。責任をポジティブに放棄することが必要だと思っています。自分がやるべきこと、できること、会社から求められている役割。ここを明確にすることが大事です。できないことまでやろうとすると、疲弊します。結果、パフォーマンスは落ちて、安定的に長くはたらくことはできないと思っています。

「できること」から始めて「やりたいこと」が見つかるキャリアもあります!

編集部:今後のキャリアについて考えることはありますか?

沢田さん:考えますね。最初はチームリーダーになることを漠然と考えていました。でも、最近考え方が変わりました。いまはなりたいではなくて、チームリーダーになって、何をするのかと考えるようになりました。昇格することがゴールじゃない。仮にそこがゴールだと、配下のメンバーが不幸になってしまうと思うんです。

チームのために何をするか、メンバーのモチベーションをどう上げるか。困っているメンバーをどうサポートするか。そもそも会社に貢献するためにどうすればいいか。やりたいことのためにキャリアという手段があるのだと思います。自分の価値を最大限発揮するために、必要なポジションを得る、結果、それが役職だったりするんだろうなと感じます。まずは自分自身の内面を見つめて、何をやりたいか、を改めて考えてみてはいかがでしょうか。「できること」からスタートして、いつの間にかそこから、「やりたいこと」が見つかるキャリアもあると思います!

まとめ.沢田さんから学ぶ長期就労とキャリアップのヒント

今回沢田さんの言葉から、さまざまな、長期就労、安定就労、キャリアアップについてのヒントが見えてきたので、改めてまとめました。ぜひ、みなさんがはたらく際のヒントにしてください!

  1. 得意な仕事は本当は向いていないこともある。自分を見極めて、何ができるか、できないかを見直そう
  2. 「やりたい仕事」より「今できる仕事」のほうが自分に向いている場合もある
  3. 目の前にある仕事を集中して続けることで、自然とキャリアアップの道が開く場合がある
  4. できないことまでやろうとすると、疲弊して安定就労に繋がらないことがある