
発達障害や知的障害があると、「はたらきたい気持ちはあるのに、自信が持てない」「長く続けられる仕事なんてあるのだろうか」と悩んでしまいがち。軽度の知的障害と発達障害(ADHD傾向)を抱えながら、5年以上同じ職場で活躍するパーソルエクセルアソシエイツ株式会社の増田志織さんへのインタビューを通して、はたらくこと、仕事を安定させる工夫、得られた変化をお伝えします。
今、仕事探しに悩んでいる方にとって「自分にもできるかもしれない」と思えるヒントをお届けします。

パーソルエクセルアソシエイツ株式会社
パーソルエクセルアソシエイツ株式会社
事業統括本部
オフィスサービス事業部
増田 志織
知的障害・発達障害とともに育ったこれまで

編集部:まずは、ご自身の障害の特性や、これまでの歩みについて教えてください。
増田さん:IQが70前後と言われているので、軽度の知的障害です。また、発達障害についてADHDの傾向があると診断を受けました。小学校と中学校は特別支援学級で過ごしましたが、高校は普通高校を卒業し、メディア系の大学を卒業しました。
大学までは何とか行けたものの、卒業後の就職活動がうまくいかなくて。最初はパートではたらいていましたが、「このまま一人で安定した就職先を探すのは難しい」と感じ、就労移行支援を利用し、当社に入社しました。
自分が就職するまでを振り返ると、「どこかに・誰かに頼る」ということは大事だと思います。ハローワークや、住んでいる地域の役所(福祉課等)、また障害者就労・生活支援センター、それに民間などが行っている就労移行支援事業所を頼ることをおすすめします。はたらき先や、どんな仕事が向いているか、そもそもどんな職場があるかなど、自分の選択肢を増やしてくれるので、利用して良かったなと実感しています。
知的障害特性から分からなかった「仕事の順番」

編集部:増田さんが入社するきっかけと、現在の仕事について教えてください。また、障害の特性として、仕事の中で特に難しさを感じた点は何でしょうか。
増田さん:2019年9月に入社しました。入社前に2週間ほど実習があって、その中で「ここならやっていけるかもしれない」と思えたのが大きかったです。仕事内容だけでなく、上長と話しやすかったことも安心材料でした。雰囲気を感じられたのが良かったですね。
最初は封筒や名刺を作る事務系の軽作業が中心でした。今は、データ入力や社内情報の検索、支払処理など、パソコンを使う仕事がメインです。PCやタブレットなどの貸与物の設定や返却対応もしています。ルーティンがある仕事なので、忙しくても取り組みやすいです。
入社当初は、何をやるかは分かっていても、「どこから手をつければいいか」が分からなくなることが多かったです。
優先順位をつけるのが苦手で、考えれば考えるほど止まってしまう感じでした。そういうときは、自分だけで抱え込まず、チームリーダーに聞きながら一つずつ進めるようにしていました。
「先走り」が強く出た、自分のADHD特性
編集部:発達障害、特にADHDの特性は、仕事にどのような影響がありましたか。
増田さん:ADHDは、不注意や衝動性が出やすい特性がありますよね。自分の場合は、先走ってしまうところが大きかったです。自分の考えだけで動いてしまって、確認不足でやり直しになることがありました。
指摘されるつらさと、少しずつの変化
編集部:入社後変化はありましたか?
増田さん:最初は注意されるのが正直つらかったです。でも、ちゃんと指摘してもらえる環境だったので、「次はどうすればいいか」を考えるようになりました。
分からなかったら考えて、それでも分からない場合は質問・確認する。今は、不安なことがあれば必ず確認するようにしています。
入社後に感じたギャップと、乗り越えた時期

編集部:働き始めてから、つらかった時期もありましたか。
増田さん:最初はかなり厳しかったです。チームの中での立ち回りや、細かい決まりごとが分からなくて。自分の理解とやるべきことのギャップが大きすぎて、一時期は泣くしかないくらいつらかったですが、「次に行くところがない」と自分に言い聞かせて、踏ん張りました。
編集部:長くはたらくため、工夫や意識していることはありますか?
増田さん:平日は必ず6時に起きて、夜はできるだけ0時までに寝るようにしています。
長期休みの後も、リズムを崩さないことを意識しています。新しい業務など、できることには積極的に取り組んできました。評価してもらい、表彰されたこともあります。やると決めたことは、最後までやり切るようにしています。
編集部:今後の目標を教えてください。
増田さん:後輩に仕事を教える立場になりたいです。マニュアルを整えたり、伝え方を工夫したりしていきたいですね。

