パーソルグループの優れた取り組みを表彰する「PERSOL Group Awards 2026」で、パーソルグループの特例子会社、パーソルダイバース株式会社のプロジェクトが、Specialized Services MVPを受賞しました。
プロジェクトの成功は、表舞台に立つメンバーだけではなく、日々の現場業務を担う社員一人ひとりの力によって支えられました。
今回お話を伺ったのは、受託サービス第2本部 群馬事業部 とみおか繭工房 富岡倉庫グループで活躍するTさん。難聴と適応障害に向き合いながら、就労移行支援を経て2020年に入社しました。
なぜ長くはたらき続けることができるのか。そして、MVP受賞プロジェクトに関わったことで何を得たのか。仕事を探している障害のある方へ向けて、これまでの経験や自身の工夫について語っていただきました。 

就労移行支援との出会いが、社会復帰の第一歩になった

Tさんは中学生の頃に右耳の聴力を失い、高校3年生のときには左耳の聴力も大きく低下。原因不明の突発性難聴と診断され、補聴器が欠かせない生活になりました。
進学や就職の場面でも思うようにいかず、「聞こえないこと」が大きな壁になったと振り返ります。
事務職や接客業などさまざまな仕事を経験しましたが、自身の障害を周囲にうまく伝えられず、一人で抱え込むことも少なくありませんでした。
「周りと同じようにできないことが悔しかったです。仕事を覚えるにも時間がかかるので、何度も書いて覚えていました」(Tさん)
誰にも相談できず、自分だけで何とかしようと頑張り続けた日々。それが後に大きな負担となっていきました。
結婚後は、育児や家事と両立しながら、コンビニエンスストアの経営に携わっていました。しかし、責任の重さや生活上の負担が重なり、心身のバランスを崩してしまいます。
人と会うことが怖くなり、外出も難しくなった時期に、医師に適応障害と診断されました。そんな中で出会ったのが就労移行支援です。
「最初は、社会復帰なんてできるのかなと思っていました」
それでも、Tさんは支援員やスタッフとの関わりを通じて、自分の特性や困りごとを少しずつ言葉にできるようになったといいます。叱ってくれる人がいて、一緒に笑ってくれる人もいました。ありのままの自分を受け入れてくれる環境が、前を向く力になりました。そして2020年9月、パーソルダイバースへ入社しました。
入社当初は音や人の気配に対する不安もありましたが、周囲と相談しながら、はたらく環境を整え、自分に合った方法を見つけてきました。
「就労移行支援で学んだのは、一人で抱え込まないことでした」

安定就労の鍵は「頑張りすぎないこと」「一人で抱え込まないこと」

現在は受託業務やクラフト制作業務などを担当し、安定した勤務を続けています。
しかし、今の状態にたどり着くまでには時間が必要でした。
「まずは3カ月頑張ろう、次は6カ月頑張ろう。そんなふうに少しずつ積み重ねてきました。以前は体調が悪くても早退を申し出ることができませんでしたが、今では不調を相談できるようになりました」とTさん。
「以前は、難聴であっても聞こえてくる雑音や話し声が気になり、仕事に集中できませんでした。しかし、思い切って上司に相談したことで、ノイズキャンセリングヘッドホンの使用を認めていただきました。また、体調が優れないときや業務内容が分からないときも、その都度相談するようにしています」と続けます。

Tさんは、一つひとつの不安を上司や周囲に相談することで解消し、安心してはたらける環境を築いてきたといいます。
また、仕事だけでなく体調面についても、訪問看護や主治医、支援機関への相談を継続しています。
Tさんは、就労定着のために最も大切なこととして「焦らないこと」を挙げます。
「以前は『早くはたらかなきゃ』『頑張らなきゃ』と思い続けていました。しかし、支援者の方から『焦らなくていいよ』と言われて、気持ちが楽になりました。焦ったところで、自分にできることは変わりません。それよりも、今できることに丁寧に向き合うことで、少しずつできることが増えていきました。結果的に、それが一番の近道だったと思います。できないことよりも、自分にできることへ目を向けられるようになりました」

MVP受賞プロジェクトが教えてくれた“仕事のやりがい”

Tさんは、「PERSOL Group Awards 2026」でSpecialized Services MVPを受賞したプロジェクトにおいて、検査員資格を生かした検品業務を担当しました。
現在も、品質を守る重要な役割を担い、商品の状態を一つひとつ確認する繊細な業務に携わっています。
受賞の知らせを聞いたときの気持ちを、このように振り返ります。
「私自身が受賞したわけではありませんが、大きな達成感がありました。そして、障害の有無に関係なく、自分たちの仕事を認めてもらえた喜びを感じました。納期が定められた中で進めるプロジェクトは、決して簡単なものではありませんでした。それでも試行錯誤を重ねながら取り組んできた経験が評価されたことで、大きなやりがいにつながりました」
障害の有無にかかわらず、一人ひとりの役割や成果が評価される。そんな環境が、仕事への誇りにつながっているそうです。
「事務所全体で盛り上がっていますし、仕事に対するモチベーションも上がったように感じます。ここではたらいていて良かった。そんな満足感でいっぱいです」

仕事を探している皆さんへ。「焦らず、まずは誰かに相談してみてください」

最後に、仕事を探している障害のある方へメッセージを伺いました。
「焦らないでください。まずは誰かに相談してみてほしいです」
自身の経験を振り返りながら、Tさんはそう語ります。
「病気になったことで、つらかったこともたくさんありました。でも、その一方で助けてくれる人がいることも知りました」
今では職場の仲間と過ごす時間を楽しみ、笑い声が聞こえる職場ではたらくことに生きがいを感じているそうです。
「ここにいて楽しいな、と思えるようになりました」
就労移行支援との出会いから始まり、就労定着を実現し、MVP受賞プロジェクトに関わったTさん。その歩みは、障害があっても自分らしくはたらき続けることができるという希望を、これから仕事を探す人たちに示してくれています。