
「精神・発達障害があるからはたらけないのでは?」という不安を抱えている精神・発達障害の当事者の方は数多くいるのではないでしょうか。
パーソルグループの特例子会社であるパーソルダイバース株式会社では、そのような不安を解消しようと、精神障害や発達障害のある社員が、自らの体験と工夫を語る、マスコミ向けの当事者座談会を開催しました。
マスコミの方々を通じて、世の中の考え方が少しでも変われば、という思いで行った座談会の様子をお伝えします。語られたリアルな声をもとに、精神・発達障害があっても「自分らしくはたらく」ためのヒントをお届けします。
障害特性との向き合い方――「自分の困りごと」を知り、工夫を積み重ねる

座談会には、普段パソコンを使った入力作業を業務にしている、3人の当事者社員が登壇しました。大手新聞社・通信社の記者の前で、「自分の障害について」「自身の障害に関する困りごとと、その対処方法」について発言し、その後質疑応答という流れで行いました。
参加者の3人は、それぞれ、
・発達障害(自閉スペクトラム症=ASD、注意欠如・多動症=ADHD)女性30代(Mさん)、2021年12月入社
・発達・精神障害(ADHD、うつ)男性30代(Aさん)、2019年8月入社
・発達・精神障害(ASD、ADHD、不安障害、聴覚過敏)男性30代(Tさん)、2018年1月入社
という障害に向き合いながら安定した勤怠を実現させている社員です。
精神・発達障害のある方がはたらくうえで、まず大切なのが「自分の特性を知ること」と話すMさんは、耳からの情報処理が苦手であるため、業務指示の際にはメモを取り、後で上司に確認する工夫をしているそうです。
業務をするうえで、「いつ質問すればいいのか」「どのように質問すればいいのか」という登壇者の悩みやその対処法についての説明もあり、Mさんは「①何に困っていて、②困ったことに対する工夫をしてみる、③それでも困ることは相談」と自分で疑問を整理し、考えることの大切さを教えてくれました。
Tさんは、感情のコントロールが難しかった経験から、カウンセリングに通い、自分の衝動的な言動を見つめ直すようになったそうです。「短期間で完璧にしようとせず、他人と比べず、昨日の自分を超える」ことを大切にしていると話してくれました。
気になるはたらく環境。パーソルダイバースでは「選べる柔軟さ」があります。

パーソルダイバースでは、出社・在宅の頻度も個々の事情や業務に応じて調整されています。出社週2~3日、在宅週2~3日というはたらき方が一般的で、フルリモートの社員もいれば、ほぼ出社の社員も。Mさんは「通勤だけで疲れてしまうからリモートワーク」が合っているそうです。
一方、Tさんは「会社にいるほうが安心できる」と出社を好むタイプで、「どこに気持ちをぶつけたらいいか分からなくなる」不安が、出社することで軽減されることもあるそうです。業務内容によっては、出社スタイルは決まっている部署もありますが、「自分の特性に合ったはたらき方」を上司と相談することで見出し、安定・安心してはたらいている、という姿を見て、参加した記者の方から「はたらき方に対する考え方、感じ方は手帳の有無は関係ないことが実感できました」という感想が出ました。「職務内容に希望があっての入社ですか?それとも今の仕事をしているのは偶然ですか?」という記者からの質問もありました。Mさんは「希望は特にありませんでした。自分の障害特性を考えて、できる仕事を選びました」との回答に、残り2名の登壇者もうなずいていました。
まとめ「自分の障害理解を深め、できること」に目を向けよう

今回の座談会では、3人ともが「障害があるからといってはたらけない、ということではない」と実感を込めて話していました。Mさんは、自ら障害を開示することで発達障害への理解を広げたいと考えています。
Tさんは「同じ障害を持つ仲間のロールモデルになれたら」と語り、Aさんは「配属先でリーダー的な役割を任され、やりがいを感じている」と話しました。自分の特性を受け入れ、それぞれが工夫を重ねながら一歩ずつ前に進むを今回の座談会で示してくれました。
座談会に参加した記者の方々からは「当事者の生の声を通じて、精神障害という単語の中には実に多様な情報が含まれていることを改めて実感しました」「次は当事者のキャリアの積み方を聞いてみたい」「具体的に本人たちの生の声を聞いて、障害理解がさらに進んだ気がする」とポジティブな感想が次々と出てきたのが印象的でした。
今回の座談会では精神・発達障害がある方がはたらくためのヒントとして「自分の障害理解を深めて、自分のできることを優先させて仕事を見つける」ということが、一つ見えてきました。それと同時に、実際にはたらく当事者社員の声を今回の座談会のように、いろいろな場面でお伝えすることが、当事者の就労機会を増やすきっかけになるかもしれない、とイベントに携わった社員一同が実感しました。また、機会があれば、「生の声」をお届けしたいと考えています。
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