Our Answers

ともにはたらく環境づくり

パーソルグループ「今、ニッポンのはたらくを考える会議」レポート

Interview

パーソルグループ

どうつくる? どう広げる?
“はたらく喜び”を実感できる組織と環境

「障害者雇用支援月間」にあたる9月、パーソルでは「はたらく障害者の幸せ実感と多様な能力を生かす職場・組織の作り方」をテーマにオンラインセミナーを開催しました。登壇したのは、アクセンチュア株式会社で障害のある社員専用のサテライトオフィスを立ち上げた中村健太郎氏と、パーソルホールディングスの障害者雇用推進部室長を務める大濱の二人。モデレーターはパーソルチャレンジの鈴木が務めました。今回はそのセミナーから、アクセンチュアが進めるユニークな障害者雇用の取り組みをご紹介します。

中村 健太郎
Profile

中村 健太郎

アクセンチュア株式会社 ビジネスコンサルティング本部
インダストリーコンサルティング日本統括 マネジング・ディレクター

フューチャーアーキテクト、ローランドベルガー、ボストンコンサルティンググループを経て、2016 年にアクセンチュアに参画。通信・メディア・自動車・鉄道業界をはじめとする多数企業の成長戦略、新規事業戦略策定などを手掛け、技術トレンドにも精通し、昨今は、ロボティクスやAI を活用した新規事業戦略策定/実行支援にも従事。「ポスト・コロナ 業界の未来」(日本経済新聞出版社)監修。その他寄稿等多数。

大濱 徹
Profile

大濱 徹

パーソルホールディングス株式会社 グループ人事本部 障害者雇用推進部 室長
パーソルチャレンジ株式会社 コーポレート本部 経営企画部 ゼネラルマネジャー

パーソルキャリアへ入社後、障害者の人材紹介サービス「dodaチャレンジ」に参画。2013年より、同サービスの責任者を務め、数多くの組織の採用支援と雇用アドバイザリー業務に携わる。現在はパーソルチャレンジの経営企画や新規事業開発に従事するほか、パーソルグループ全体の障害者雇用の取り組みをPRし、グループ内外の障害者雇用・活躍を推進。
共著に「障害者雇用は経営課題だった!」シリーズなど。

鈴木 紀子
Profile

鈴木 紀子

パーソルチャレンジ株式会社 人材ソリューション本部
コンサルティング事業部 ゼネラルマネジャー

インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社後、ITインフラ業務のアウトソーシングサービスにおける運営管理に従事。2014年、特例子会社フロンティアチャレンジ(現パーソルチャレンジ)にマネジャーとして着任。障害ある職員が所属する部門にて、組織運営・研修開発・採用や人材育成に携わり、約250名相当の新業務を創出、体制を構築。2018年4月よりコンサルティング事業部に着任し、特例子会社設立支援や企業向け研修、採用代行や雇用支援サービスの提供、及び新商材開発に携わる。

障害のある方の「はたらく幸せ」に着目を

セミナーではまずパーソルチャレンジの鈴木から、求職中の障害のある方を対象にdodaチャレンジ(障害のある方向けの求人サービス)が行った、興味深い調査結果を共有しました。この調査によると、対象者の約73%が「はたらくことに関して幸せを感じる」と回答。もっとも幸せを実感するときは「新たな学びや自己成長を感じるとき」で、一方、「評価や評判が得られないとき」や「仕事や自分の役割の意義が見いだせないとき」には、幸せが実感できなくなることが分かりました。

この結果を受け、鈴木は「採用だけをゴールにせず、障害のある方のはたらく幸せに着目し、企業と双方にとってより良い状態をつくりだしていくことが大切」とコメント。そしてその事例として、中村氏と大濱がそれぞれの取り組みを紹介していきました。大濱がお話ししたパーソルグループが進める「はたらき方の多様化」についてはこちらの記事で詳しくまとめていますので、今回の記事ではアクセンチュアが進めるサテライトオフィスの取り組みについてご紹介します。

環境さえ整えば障害があっても活躍できる

約1万8千人の正社員を雇用するアクセンチュアでは、法定雇用率順守の観点から障害者雇用をスタート。当初は身体障害のある社員を各部門に直接配置していましたが、日本では精神障害のある方の就労率が著しく低いことに問題意識を覚え、精神・発達障害のある方を対象とした雇用施策に乗り出しました。

中村氏がまず疑問に感じたのは、「精神障害の方の就労率が低いのは、パフォーマンスに問題があるからだろうか?」という点です。そこで海外に目を向けると、ハリウッドでは発達障害の方が高い視覚能力を活かして画像チェックの仕事に従事し、イスラエル軍には自閉症スペクトラムの方で構成される部隊があることを知り、「環境が変われば障害は障害ではなくなる」と気づきます。そして2019年、東京の立川と神奈川の生麦に、精神・発達障害のある社員専門のサテライトオフィスを立ち上げました。

本社から離れたサテライトオフィスとしたのは、「発達障害のある方はパーソナルスペースを確保しやすい場所のほうが、パフォーマンスが上がる」という専門家の知見に基づいてのこと。業務は社内のBPO(資料編集、調査、名刺入力など)が中心で、各部署からざっくりと依頼された業務の中からマネジメントチームが具体的な業務を切り出し、生産性が下がらないことを確かめてからサテライトオフィスの社員に引き継ぎます。引き続き雇用も拡大する計画だと言います。

成長と貢献度合いをポイントですぐに見える化!

アクセンチュアのサテライトオフィスで特にユニークなのは、発達障害のスペシャリストとして知られる奥田健次氏を監修に招いて独自に開発した評価システムです。これは、一人ひとりの作業データ(作業時間やアクション量、ミス数など)を細かく測り、そのパフォーマンスに応じてインセンティブを付与するというもの。毎日仕事が終わると、その日のパフォーマンスがポイントで示され、ポイントがたまると最終的にAmazonポイントに交換できるという仕組みです。

この仕組みを取り入れたのは、同社が何より「成長と貢献の実感」を何より重視しているからです。特に発達障害のある方は、仕事の成果や結果が“すぐに”見えることが大事だと奥田氏からアドバイスを受け、仕事が終わると瞬時にその日の成果が表示されるシステムを開発しました。実際にこのシステムは、社員が自発的に仕事に取り組むモチベーションになっており、パフォーマンスの向上にもつながっているそうです。
一方で、社員それぞれの能力によって業務内容や難易度が異なるため、相対的な評価が難しく、評価軸のチューニングは欠かせません。今後は、個人の特性に合わせて最適な評価やマネジメントができる人材開発にもチャレンジしていくとのことでした。

多様な力を活かす環境づくりはもはや無視できない経営アジェンダ

現在アクセンチュアでは、サテライトオフィスのほかに、障害のある大学生向けのインターンシップを実施したり、特別支援学校に就業訓練プログラムを提供したりと、就労前から就労後までの長いスパンを見据えた取り組みも進めています。
「日本にはまだまだ多くの就労に不安を抱える障害のある方々がいらっしゃいますが、アクセンチュアで雇用できる数には限りがある。こうしたモデルケースをつくって社外にも発信し、社会の中ではたらく喜びを感じられる人を一人でも増やしたい」と中村氏は語りました。

大濱は「ダイバーシティやSDGsへのコミットは、企業の生産性や競争力を左右するところまで進んでいる。経営者がそこに意志を持って取り組んでいくことが重要ですね」と締めくくりました。

「ともにはたらく環境づくり」インタビュー一覧 へ