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社員の悩みや課題に向き合う「田町のジョブコーチ」が、障害者雇用の日常やちょっと役立つノウハウを紹介する当コラム。今回は、入社直後の社員に対し当社が行っているフォローについて、具体的な例を紹介します。

最初の3か月間の過ごし方が、安定就業のカギ

当社には毎月、さまざまな属性の障害のある人が中途入社します。入社後のフォローで私たちが特に重視しているのは、入社3か月までの期間。この期間を上手く過ごすことで、その後の安定就労につながりやすくなるからです。実際にどんな流れで受け入れているか、時系列で説明していきますね。

【入社前】まずは不安や緊張を和らげる

当社では入社2週間前を目安に、内定者の方に登録している支援機関の方と一緒にオフィスへ来社してもらいます。そこで約1時間の「入社前面談」を実施し、改めて配慮事項を確認したり、入社を前にして不安なことはないかと聞いたり、支援機関の方と当社の支援体制などについてお話ししたりします。

就職が決まるとみなさんホッと一息つかれますが、入社日が近づくにつれ「どんな会社だろう」「通勤は大丈夫かな」「どんな仲間がいるのだろうか」など不安が出てきてしまう、そんな方をよく見かけます。そこで当社の支援担当は一人ひとりの不安をしっかり聞き取り、「みなさん同じようなことを心配されていましたよ。それでも少しずつ慣れてくださっています」といった雑談を交わして緊張をほぐすことを心がけています。

【入社後研修】怒涛のスケジュールの中、随時声がけ&振り返りを

入社後は、約2週間の研修期間を設けています。人事の話、制度の話、会社内の組織の話を朝から夕方までみっちり3日間聞き、その後は各チームの業務を数日ずつ7~8種類体験するOJTが組まれています。

OJTが始まる前には、OJTの目的(自分に向いている業務や苦手な業務を知る/毎日の通勤でリズムを安定させる/会社の雰囲気に慣れるなど)をしっかり説明ますが、それでも実際に体験すると不安はぬぐい切れないようです。数日おきにめまぐるしく変わる業務で、徐々に溜まっていく緊張や疲労。同期とのタイピング速度やエクセルスキルの差が目について、「自分は遅れているかもしれない」と考えてしまうメンバーが出ることも……。

そんなOJT期間中には、研修担当が隣の席に常駐し、随時声掛けを行います。OJT最終日には振り返り面談を行い、改めて現在の心境や業務の感想などを聞き、リーダー、マネジャーによる配属決定会議を経て、所属先が決まります。

【配属後】面談を重ねて、問題発生を“予防”

配属後も忙しい日が続きます。所属先が決まった翌日には直属のリーダー、マネジャーと面談を実施し、配属後の流れ等を伝えます。

月の後半には入社1か月目の「定着面談」を行い、本人・当社・支援機関の3者で1カ月を振り返りながら業務や環境について話し合いをし、不安の払しょくにつなげます。この定着面談は入社3か月までは毎月実施。さらに現場配属決定の翌月からは、現場のリーダー陣が月に一度の「定例面談」を行います。

多忙な業務のなか、これほど多くの面談を行う目的は

  • 不安を引き出すこと
  • ため込まないこと
  • 相談するくせをつけること

です。つまりこれらの面談・ヒアリングを定期的に行うことで、「何か起こる前の予防」に力を注いでいる、ということになります。

入社直後のフォローは永遠の課題!

こうした取り組みを続けることで、肌感覚ではありますが、確かに定着しているメンバーが増えてきました。それでもやはり、入社数か月で退職する社員はいます。「入社直後にどんなフォローをするべきか」について、まだまだ模索中の当社。ぜひ、このコラムをご覧になったみなさんの意見も聞いてみたいです。

次回は「支援担当に対する支援」について。最近、他社との勉強会などで「支援員が疲弊して退職する」という声をしばしば耳にするのです。当社の実情をご紹介します。