支援員とは?就労支援員・ジョブコーチとの違い

障害のある方の「はたらく」を支える専門職には、いくつかの種類があります。支援員とは、福祉サービス事業所などで利用者の就労や生活をサポートする職種の総称です。
このうち就労支援員とは、就労移行支援事業所などに所属し、履歴書作成・面接練習・職場実習の同行から就職後の定着支援まで一貫して関わる役割を担う専門職のこと。就労支援員には、必須資格はないものの、社会福祉士や精神保健福祉士などの福祉系資格が活かせる仕事でもあります。
一方、ジョブコーチとは、正式名称を「職場適応援助者」といい、障害のある方が職場にスムーズに適応できるよう、企業に出向いて直接支援する専門職です。ジョブコーチは、配置型・訪問型・企業在籍型の3種類に分かれ、本人だけでなく、上司や同僚、ご家族への助言まで担います。
呼び方や所属は違っても、共通するのは「利用者と適切に関わる」こと。そして現場で多くの支援員が悩むのが、この「支援員と利用者の距離感」の取り方なのです。

「仲間」を支援するという、病院のカウンセリングとの違い

当社の支援担当が支援する相手は、同じ会社ではたらく社員。つまり「仲間」を支援することになります。
支援担当のメンバーの中には、かつて病院でカウンセリングをしていた者がいるのですが、『病院のカウンセリングと社内の支援担当の違いは何か』と聞くとこんな答えが返ってきました。
「一番驚いたのは、支援している社員との距離の近さです。病院では自分自身の話はまったくせず、患者さんとしっかり距離を取っていました。でも、いまは自分の趣味や経歴を伝えることや、たわいもない雑談をすることも。この距離感の近さにびっくりしました」
外部から職場に出向くジョブコーチとは違い、社内で日々顔を合わせる支援担当には、また別の独特の距離感の難しさがあるのだと気づかされました。

距離が近すぎる・遠すぎるとどうなるか

距離が近すぎると、本人が自分で考える前にすぐ支援担当に聞いてしまい、依存関係のようになって自立を妨げてしまうことがあります。また周囲の社員に「なんであの人にだけは距離が近いの?」という不自然な気持ちを抱かせてしまう懸念もあります。
一方で距離が遠すぎると、利用者は心を開けず、本音の相談ができません。本来、就労支援員とは、利用者の自立を支える伴走者であるはず。それが「何でも代わりにやってくれる人」になってしまっては、本人の成長機会を奪うことにもなりかねません。「近すぎず、遠すぎず」の感覚は、なかなか自分の中で見つからないものです。私自身も、この距離の取り方には苦労してきました。

支援員が意識したい「適切な距離の取り方」のポイント

距離の取り方に悩んだとき、意識したいのは次の点です。

  • 役割を見失わない:友人でも家族でもなく、「支援者」であることを軸に据える
  • 共感はするが、同調しすぎない:気持ちに寄り添いつつ、判断は本人に委ねる
  • 私的情報の共有は最低限に:勤務時間外の連絡や個人的なやり取りは控える
  • チームで関わる:特定の支援員に依存させず、複数人で情報共有する
  • 自立を促す距離を選ぶ:本人が自分で考え、決める余白を残す

    ジョブコーチとは、本人の自立に向けて、必要な支援を段階的に本人や職場へ移行していく専門職でもあります。就労支援員とは、本人の力を信じて待つ姿勢を持つ存在だとも言えます。これらは「冷たさ」ではなく、利用者の自立と支援員自身の健やかさの両方を守るための「思いやり」だと思います。

パーソルダイバースの場合──一貫した姿勢が「適切な距離」をつくる

「すべての人に等しく同じような態度を取る」というのは、全員に対して画一的な距離を保つということではありません。相手の言葉に共感して寄り添うという態度を貫き、それによって「各々にとって適切な距離感と関係性を築いていくこと」が理想です。
これからもこの「距離の取り方」は、常に頭の中に入れておこうと思います。