
「障害者雇用の面接では何を聞かれるの?」「企業は本当は何を評価しているの?」——支援担当者や求職者の方から、私はよくそんな声を聞きます。
現在ジョブコーチをしている私は以前、採用面接にも携わっていました。ネット上によくある質問リストだけでは見えてこない「採用側の本音」を、現場の視点から正直にお伝えします。
「転職回数が多いと不利」は誤解です
広告ディレクター時代の私は「転職は3回まで」が常識だと思っていました。ところがパーソルダイバースで面接を担当するようになり、その「常識」は180度変わりました。障害者雇用 転職回数は2桁でも珍しくありません。
精神・発達障害のある方は、治療や、業務と特性の不一致、職場環境になじめなかったことなど、さまざまな理由で、自分らしくはたらける場所を探す過程で、一般平均より転職が多くなりがちです。だからこそ、私たちは障害者雇用の転職回数そのものを不利とは捉えていません。大切なのは、なぜ転職したのかを自分の言葉で語れるか。むしろ経験の数だけ、自分に合う環境や合わない環境を知っている、とも言えます。
面接では、転職の事実そのものより「その経験から何を学び、次にどう活かすのか」を見ています。障害者雇用でも、転職回数を過度に気にする必要はないのです。
障害者雇用の面接で企業が見ている3つのこと

面接の評価軸は、実はシンプルです。①はたらく意欲があるか ②自己理解ができているか ③安定してはたらくための体調管理ができるか。なかでも面接の評価で重視されるのが「意欲」です。はたらいて社会に貢献したいという熱意は、何よりも面接の評価につながります。
逆に、障害特性を隠そうとする方より、苦手なことや必要な配慮を理解して言葉にできている方のほうが、安心して仕事を任せられる——というのが現場の実感です。自己理解は一朝一夕には身につきませんが、これまでの経験を振り返り「どんなときに力を発揮でき、どんなときにつまずくのか」を整理しておくだけで、面接の評価は大きく変わります。
障害者雇用の面接は、スキルの品定めの場ではなく、意欲と自己理解をお互いにすり合わせる場なのです。
障害者雇用の面接質問と回答例
実際によく出る障害者雇用の面接質問と回答例を紹介します。
Q. これまでの転職理由を教えてください
回答例:「業務と特性が合わず体調を崩した経験から、自分に合う環境を見極めるようになりました。」
定番の障害者雇用の面接質問で、回答例のように前向きな学びへ変換するのがコツです。
Q. ご自身の障害特性と、必要な配慮を教えてください
回答例:「曖昧な指示が苦手なので、具体的にご指示いただけると力を発揮できます。」
この障害者雇用の面接質問には、配慮と「できること」をセットにした回答例が効果的です。
Q. 体調管理で工夫していることは?
回答例:「服薬と睡眠の状況を記録し、通院を継続しています。」
自己管理を示す回答例は、面接の評価を大きく高めます。
Q. 志望動機を教えてください
回答例:「安定してはたらける環境で、自分の強みを長く活かしたいと考えました。」
飾らず、自分の言葉で語る回答例のほうが、採用側の心に届きます。
支援担当者ができる面接サポート
障害者雇用の面接質問は事前にある程度想定でき、回答例をもとに一緒に整理しておくと本人も落ち着いて臨めます。支援担当者の役割は、求職者の強みと配慮事項を言葉にする伴走役です。
私の会社に勤続5〜10年の精神・発達障害の社員が多いのは、複数の業務と複数の勤務地を組み合わせ、一人ひとりが心身ともに健康的にはたらき続けられる「頑張れる環境」を用意しているからだと感じます。不調のサインが出たときは、本人や支援機関、医師、上司の声を集めて課題がどこにあるのかを一緒に探ります。課題が明確になれば、どんな仕事や環境が最適かという対応策も見えてきます。
障害者雇用の面接を単なる通過点で終わらせず、入社後の定着まで見据えて支えること。それが結果的に、高い評価と、本人が長くはたらける未来につながるのだと、私は現場で実感しています。



