パーソルグループにはDEI(「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」)について考える「みんでぃ」という社内イベントがあります。
今回、私ジョブコーチが、DEIの観点を踏まえ、精神、発達障害という多様な障害のある社員と、同じ組織・部署で「ともにはたらき、ともに笑う」ために、日々のコミュニケーションや配慮をどのように工夫すると良いのか?実例を交えて紹介しました。

パーソルグループが取り組むDEI活動について

パーソルグループではDEIを「はたらいて、笑おう。」というグループビジョン実現のために位置づけています。属性の多様性の理解、価値観の多様性を受容、能力の多様性の活用によって新しいサービスの創造や、既存サービスの強化を実現させ、社会に提供することで最終的にはビジョン実現、経営戦略の実現を目指しています。

DEIについてグループ社員なら誰でも学び、考えるための「みんでぃ」というイベントでは、キャリアオーナーシップ、副業、男性育休、LGBTQ+など実に多種多様なテーマで実施されています。

今回、ジョブコーチが話したのは「精神・発達障害の方とのコミュニケーションについて」でした。ジョブコーチと当事者社員がペアになり、精神発達障害についての概要、当事者社員の経験、そしてどのようにコミュニケーションを取ればいいのか、そして質疑応答という流れで約1時間話しました。事前の申し込みの時点で、通常の約1.5倍の応募がありました。これには担当者も驚いたとのこと。

イベントには、パーソルグループ社員の障害に対する興味や、「一緒に円滑にはたらくにはどうすればいいのか」「困っているときには、どのように声をかけていいのか」「間違った声掛けで不安にさせてしまったらどうすればいいのか」「まずは学びたい」、とたくさんの目的を持った社員が参加してくれました。

注目度が高かった、精神・発達障害の方とのコミュニケーションの取り方

実際の資料から、障害者雇用の現場で行われているコミュニケーションの取り方、考え方について、いくつか紹介します。
まずは、

精神・発達障害がある方との、コミュニケーションを含めた、日々の接し方、考え方、ふるまいについて

【当事者の周囲、上司、支える人たちは】
・職場においては、必要以上の配慮をこちらからはしない
∟なぜなら、同じ会社で一緒にはたらく仲間だから
∟あらかじめ聞いている必要な配慮や、業務をするうえで生じた課題に対する必要な配慮を行いましょう
∟基本的には給料をもらう社員であり、仲間という認識は忘れずに
∟そのうえで困りごとが起きてきたら、「一緒にどう解決していくか」というスタンスを忘れないようにしましょう

・コミュニケーションを取るうえでも「これを言うと怒るかな?調子悪くなるかな?」はあまり考える必要はありません。
∟手帳の有無は関係ない。性格の問題もある。大事なのはコミュニケーションを重ねて関係性を作ること。
∟嫌なことを言ってしまったら謝る。何が不安になるのか忘れないことなどを話し合い、確認することが大事。

・過度な心配やリスクヘッジは、本人の成長機会を妨げることにもなります。
∟仲間として新しく受け入れる際、例えば障害名などセンシティブな情報はマネジャー以上にとどめましょう。
∟同僚などには、「苦手なことは何か」を伝える。その際も本人の許可をとりましょう。
∟近年聞かれる「アウティング」は十分に気を付けましょう。
∟「できることをやっていくのか」「できないことにもチャレンジするのか」目線合わせは大切です。

そして、次に紹介したのは、

当事者としての経緯と、入社後意識したコミュニケーションの取り方につい

【コミュニケーションの工夫】
・自分について開示を続けること(障害経緯、苦手なこと、失敗経験など)
・物理的な症状だけでなく、そのとき感じた自分の感情なども正直に話す。
∟「恥ずかしさ」の先にある大切なことを実感することができます。

・勇気をもって話しかけること
※上司などからすると、何度も同じことを問われている感じになるかもしれません、
しかし、上記のように本人もトライ&エラーを繰り返して努力していることを認識してほしいですし、
努力の方向性が間違っていないか、コミュニケーションの場を持ってほしいと思います。
そのための1on1は有効的。

コミュニケーションで大事なのは配慮しすぎないこと。自分の気持ち素直に伝えること

そして、事前に寄せられた質問は50以上。勉強会で紹介した質問と回答をいくつか紹介します。

「サポートに正解はないと思うが、正解に近づくためにはどうすればいいのか」
→何が苦手か得意か。どんなシチュエーションで体調を崩すか等、コミュニケーションを重ねて、特性をより具体的に把握することが大事。

「より深く・仲良くできるコミュニケーションはどうすればいいのか?」
→配慮しすぎないこと。自分の気持ちをまずは素直に伝えること。そのうえで、不安にしてしまうような言葉を使っていたならば、素直に「次からは言わないね」と謝ることを重ねていく。

といった質疑応答を行いました。参加者の圧倒的な熱量に驚くばかり。「理解したい」「一緒にはたらきたい」「負担がないような環境を作りたい」という健常者の声や、「自分の特性をどう伝えればいいか」「頑張っていることを伝えたい」「何とか会社に貢献したい」という当事者の声などが、チャットで飛び交ったことも印象的でした。

おかげさまで参加者からの希望の声が相次ぎ、この会は、年明けから2回目、3回目と続きます。パーソルグループでは、精神・発達障害がある方と健常者が、ともにはたらくための努力を続けています。イベントの様子は、またレポートしたいと思います。手帳の有無に関わらず、自分らしくはたらくためのヒントになれば幸いです。