
「はたらきたい。でも続かないかもしれない」「はたらきたいけれど、自信がない」
そんな不安を抱える人は少なくありません。
今回お話を聞いたのは、パーソルダイバース株式会社でチームリーダーとして活躍するTさん。
うつ病による「声が出しづらい」という症状に悩み、電話対応すら難しかった時期を経験しながらも、現在は部下への指導を行い、外部イベントに登壇し、流暢に自分について説明するまでになりました。
なぜ彼女は、長くはたらき続け、キャリアを築くことができたのか。彼女の言葉からヒントをお伝えします。
うつ病で「声が出ない」――はたらくことへの不安からのスタート

編集部:Tさんの発症経緯と障害について教えてください。
Tさん:新卒でIT企業に入社したのですが、少しずつ業務の負荷・負担が多くなっていったことが発症の発端となります。また、新人の頃はそこまで感じていなかった「プログラムでミスをすると、顧客に大きな迷惑がかかってしまう」というプレッシャーを感じるようになりました。プログラマーで入社したのですが、要件定義や開発、テスト、リリースまで全部を担当したことや、客先常駐という環境なども障害発症の一因だったと思います。
入社して4年が経ったある日、突然涙がバーッとでてきました。嬉しくも悲しくもないのに突然涙が出る。そしてだんだん眠れなくなる。これはおかしいぞと思いながらも無理やり出社していましたが、ある日、体が悲鳴を上げました。上司が見ても明らかにおかしかったようで、相談した結果、現場を変えてもらいました。
でも、逆に環境が変わったことでさらにストレスを感じて体調が悪化。休職することになりました。
通院の結果、うつ病と診断されました。私の障害特性は、「精神的な落ち込みがある」、「声の出しづらさ・声がかすれる」が主なものでした。診断を受けて10か月ほど休職。復職したものの情緒不安定や特性が強く出て退職することになりました。その後、1社経験した後、改めて自分のことについて整理しようと、就労移行支援事業所に通所し、2年弱の訓練を経てパーソルダイバースに入社しました。
「声がかすれることも自分の個性かも」。周囲の理解が症状をやわらげてくれたように感じました

編集部:パーソルダイバース入社は2017年6月ですね。長くはたらけるようなきっかけがあったのでしょうか?
Tさん:自分にとって一番辛かったのは「声の出しづらさや声のかすれがある」ということでした。学生時代、放送部に所属して県大会に出ていたこともあり、自分にとって「声」は武器であり、特技でした。うつ病になり、声の出しづらさやかすれが生じたことで自分にとっての武器・特技が使えなくなったことが非常につらかったです。他の人が普通にできていること(声を出すということ)ができない自分に対して、もどかしさやストレスなどを感じました。精神的に気落ちしてしまい、「(また声がかすれて聞き返されたらどうしよう…)と
声を出すことが怖くなる」といった負のループにもなりました。
それが変わったのはパーソルダイバースへの入社がきっかけでした。入社直後は面談などでも話そうとしては咳き込んだり、かすれたりしていました。しかし、そんな状態の私を周囲の人が自然に受け入れ、「それがTさんの個性・特徴なんだね」と理解してくれたことで、ほっと安心しました。この安心感は自分にとって非常に大きく、少しずつ声が出るようになり、入社3年後には普通に声が出せるようになりました。「声が出しづらいこと、かすれることはある意味、自分の個性かもしれない」と自分の障害にポジティブに向かうことができるようになったことが、大きな要因だと思っています。
入社後の安定とキャリアアップを志した理由とは

編集部:入社後、安定されてチームリーダーになりました。最初からキャリアアップは考えていましたか?
Tさん:いえ、最初は考えていませんでした。入社直後配属された部署は残業もあり、あまり安定しませんでした。外部企業とのやり取りも多く、プレッシャーがあり、一時期は出社することが嫌になっていた時期もありました。ただ、先ほど言ったように周囲が自分の特性を受け入れてくれて、仕事が辛くなって休んでいる自分も受け入れてくれて、仕事や環境に慣れるにつれて少しずつ安定するようになりました。
その後、入社から2年後に異動し、一定のプレッシャーから解放されたことで業務と勤怠が安定するようになりました。原稿のチェック業務の部署でキャリアを積むようになると、マネジャーなどの管理者の方々と関わるようになり、自分の「自信がない」という弱点を指摘されたり、また、その克服方法をアドバイスされたり。実践して成功体験を積むことで、さらに業務が安定するようになりました。そしてサブリーダーを経て2023年4月、チームリーダーになることができました。
それまでは前職で短期離職をしたことがあり、キャリアアップはあきらめていました。しかし、パーソルダイバースではたらくうちに、「自分のためにここまでやってくれた、リーダーやマネジャーのようになりたい」「自分も誰かの助けになりたい」という思いが強くなったこともあり、チームリーダー昇格はとても嬉しい出来事でした。そして、夢は広がって、「当社で女性初の精神障害があるマネジャーになる」というキャリアを描いています。
ほんの少しの勇気と焦りすぎないこと。これが長期就労とキャリアアップのコツかもしれません

編集部:改めて勤怠安定のコツや、ご自身のキャリアアップに成功した秘訣を教えてください。
Tさん:まだまだ成功した、とは思ってはいないのですが、私が日常的に行っている・意識していることは、メンタルの管理です。特に気持ちの切り替えを重視しています。仕事を終えて会社を出る時はイヤホンをつけて好きな音楽を聴くことをルーティンにしています。自分自身をオフモードにしています。
また、仕事をするうえでみなさんにお伝えできることがあるとすれば、ほんの少しの勇気と、焦りすぎないこと、です。
パーソルダイバースに転職するときは、当然ですが不安だし迷ったし、最初は緊張しました。新しい世界に飛び込むのはとても勇気が必要だと思います。でも、私の場合は飛び込んだ先に、とても信頼できる仲間が待っていました。いまの環境を変える、という意味でも、一歩踏み出してみるのも一つの選択肢だと思います。
あとは、飛び込んだ先で焦りすぎないこと。「長い人生なので、体調や気持ちが安定しない時期もあるよな」という気持ちでいるくらいでちょうどいいと思います。環境が変わると知らない人だらけだし、仕事は完璧に覚えていないからミスも出るし、焦るのは当然だと思います。そんなときに、ふっと一息ついて、家族、友人、主治医、同僚、先輩などに「頼ること」が大事だと思います。私もできたからこそ、皆さんもきっと大丈夫だと思います。


