パーソルグループの特例子会社パーソルダイバースでは群馬・神奈川・千葉の各地域と連携し、農福連携や焼菓子製造などを行っています。地域障害者の持続可能かつはたらきがいのある機会創出や、地域貢献に取り組む想いを紹介します。

地域連携による障害者雇用をはじめた理由

パーソルダイバースが地域と連携した障害者雇用事業をはじめたのは、パーソルダイバースの前身であるパーソルサンクスまで遡ります。
パーソルサンクスはテンプスタッフ(現パーソルテンプスタッフ)の子会社として1991年に設立されました。
当初はテンプスタッフから委託した事務作業が業務の中心でしたが、2006年に横浜市と協業でノベルティ用のクッキー製造事業を始めたことを機に、地域と連携した障害者雇用に力を入れ始めました。

この事業はもともと「2年間で100名規模の障害者採用を行う」という当社の計画から生まれたのですが、当時すでに東京では知的障害の方の獲得競争が始まっており、都心での採用が難しい状況でした。そこで、折よく福祉施設の誘致を行っていた横浜市に工房設立の計画を提案したところ、とても前向きな反応をもらえたのです。東京以外に目を向ければまだまだ多くの方が活躍の場を求めていて、自治体も企業誘致や地域活性のヒントを探している―――つまり、地域連携にこそ障害者雇用の新たな可能性があることがわかったのです。

障害者雇用にとどまらない意義があるから。

クッキー製造事業を通じて地域連携における雇用ニーズや自治体連携の知見を得たことで、当社の地方進出が活発化し、それに伴い雇用率も高まりました。そうした中で気づいたのは、地方と連携して事業創出を進めることは、障害者雇用にとどまらない別の意義もあるのだ、ということです。

例えば群馬県の企業誘致をきっかけに立ち上げた「とみおか繭工房」は、障害者の雇用を増やすだけでなく、担い手不足に悩む地場産業(養蚕業)を活性化させることにもつながっています。世の中から消えかけている産業を自分たちの手で担えるという点で、当社が養蚕に携わる大きな意義を感じました。

繭工房に次いで2018年から本格的に開始した農福連携も、担い手の少ない産業を支える一つの力になっています。農業は業務内容が幅広く、障害に関わらず活躍できる業務も多いため、特例子会社との相性は抜群。現在は横須賀市と連携して「よこすか・みうら岬工房」を運営し、地域の農家から農作業を請け負っています。その他にも、前橋市にはインテリア用ドライフラワーとして人気のハーバリウムを制作する「まえばし彩工房」を開設し、2020年に市から産業振興・社会貢献優良企業として認定を受けました。

「ありがとう」がカタチになって、やりがいが生まれる。

こうした事業において、私たちがつねに大切にしていることがあります。それは、仕事にストーリーを持たせることと、成果をなんらかの形で見えるようにすることです。

先ほどの「とみおか繭工房」では繭の成分が入ったオリジナルの入浴剤を作っているのですが、これはどこにでもある入浴剤ではありません。「担い手不足の養蚕業から作られ、しかも繭は障害のある方が真心を込めて作っている」というストーリーを、オリジナルのプロダクトとして見える化しているからこそ、受け取る人に感動を届けることができます。そして入浴剤を使った方から「ありがとう」の声をいただければ、はたらく社員も「またいい仕事をしよう」という気持ちが湧いてくるでしょう。

「自分の仕事が地域や社会から必要とされ、期待されている」。そんな実感を持てる仕事を創出することが、結果的にメンバー一人ひとりの定着・活躍につながっているのだと思います。「地域からの信頼」や「社員一人ひとりと向き合っていること」は私たちが誇れる大きな強みです。

事業をつくり雇用を生むことは、企業としての責任。

“先にお話ししたように、地域と連携した私たちの取り組みは、地域産業の活性化や継承など雇用にとどまらないさまざまな社会的意義を含んでいます。そしてそうした側面は、世界的に関心が高まっているSDGsにも貢献できるものだと考えています。
SDGsは持続可能でより良い世界をつくるための国際目標ですが、私たちの事業もまた、打ち出して終わるのではなく“持続”させることがとても重要です。事業をつくって人を採用したなら、そこに雇用した責任が生まれます。

「この仕事は明日も明後日もある」と思えることは、はたらく人の安心感につながりますし、社会に対して会社が果たすべき大きな使命です。
ダイバーシティやはたらき方の多様化により、私たちの「はたらく」を取り巻く環境、求めることは更に変化していきます。私たちはこれからも、特性や能力、価値観の違いを超えて、誰もが活き活きとはたらける場を創出し、「はたらいて、笑おう。」を広げていきます。”