job coach

社員の悩みや課題に向き合う「田町のジョブコーチ」が、障害者雇用の日常やちょっと役立つノウハウを紹介する当コラム。今回は、メンバー向けに新たに作成した研修「体調管理」のコンテンツについてご紹介します。

会社の成長と変化に合わせ、研修内容もリニューアル

第10回でもお話しましたが、毎年3ケタペースで社員数が増えている当社では、現在「社内研修」のリニューアルに力を入れています。社員が増えれば、社員を取り巻く環境や業務内容は必然的に変わるもの。そして環境や業務内容が変われば、身に着けるべきスキルや知識も変わるからです。

そんなわけで、現在新しい研修を次々に生み出している当社。第一弾として取り組んだのは、「体調管理」に関する研修です。昨年(2022年)12月に実際の研修がスタートしたので、今回はその目的や内容をご紹介いたします。

新研修の目的は「不調要因の見つけ方」を知ること

特例子会社において(特例子会社に限らないかもしれませんが)、まず求められるのは「体調を安定させ、定期的に出社し、業務を遂行すること」です。障害がある社員は、はたらきながらそれぞれの病気や特性と向き合っているケースがほとんど。

だからこそ、自分の特性や体調が悪くなる原因を把握し、自己管理することが必要です。そこでこの研修では、それぞれの“体調不良の要因”にたどり着く方法をお伝えする、ということを目的にしています。

強調しておきたいのは、この研修は「こうすれば体調が安定します」と教えるものではなく、「体調を安定させるために、不調の要因にたどりつく方法をお伝えする」ものです。体調不良になる要因は人それぞれ。家庭や両親、友人などのプライベート要因なのか、それとも業務内容や職場の人間関係、オフィス環境などの仕事要因なのか。前者であれば家族や医師、支援機関などに相談し、後者であれば上司や支援スタッフに相談する。何が要因かによって取るべき対策が変わりますから、まずは要因を明確にしよう。それがこの研修の目的です。

そもそもこの研修をやろうと思ったのは、私が社員との面談などをする中で「不調になる理由を明確に把握している社員は決して多くない」「不調要因が本人の考えているものとは別であるケースも少なくはない」と感じていたからです。

不調要因は決して一つではなく、またずっと同じものでもなく、その時々の環境や人間関係、仕事内容、気象状況などさまざまな影響を受けて変化します。要因を突き止めることが難しいから、その対処方法を見つけることも難しくなっているのです。

客観的に状況を整理し、不調要因にリーチする

研修時間は約1時間半。詳しい内容は“企業秘密”になるので教えられませんが、ざっくりとご紹介しますね。

まず、体調不良によって業務に影響が出た事例を紹介し、「いつ」「どこで」「何をしているときに」不調になったか、事実を積み上げながら客観的に不調要因を探っていきます。そして見えてきた不調要因について、参加者とチャットで共有し、改めて自分の不調要因を考えたり、講師から意見をもらったり、現場に持ち帰って上長と相談してもらったりします。ちなみに研修参加は任意。何度参加しても構いません、という形にしています。

参加した社員の評判は上々! 「体調不良の要因は、これまで考えていたところと別にあることに気づきました」「これまでもやもやしていたものがしっかり整理できて不調要因がわかりました」「ぜひ、同僚にも受けてほしい」という声が多く挙がりました。現場の上長や支援担当、研修企画担当と話し合いを重ねて作り上げた研修だったので、評価が高かったのはとても嬉しいことでした。

新しい研修はあと5つほど開発・実施予定で、現在は「自己認知」についての研修を模索中です。この研修については、また別の機会にお伝えします!